euphoria


ripped off, again!!


目を開けると、目の前にあったのが章ちゃんのどアップで驚いて少し距離を取った。
昨日、章ちゃんと寝てしまった。



『嫌がらへんから、...ヤっちゃお』

玄関に立ったまま首筋に顔を埋めていた章ちゃんが、私の首にキスを落として舐め上げたからビクリと体が揺れた。

「ちょ、ちょ、章ちゃんっ、!」
『...何?』
「...あ、ト、トイレは...」
『...はぁ?』
「章ちゃんが、言ったんじゃん、」
『だから騙したんや言うたやん。アホか』

唇を押し付けるようにキスをされ、壁に頭がぶつかった。逃げ場がないことに焦って章ちゃんの胸を押す。
すると章ちゃんが、少し眉を下げて私に聞いた。

『...嫌...?』
「...いや、」
『...それはどっちの“いや”?』
「...嫌なわけじゃ、ないけど...」
『......ほんなら、帰るわ...ごめん』
「......待って、章ちゃん、」
『...何、』
「...帰るの...?」
『...やって、...嫌やろ?』
「嫌じゃないよ、」
『...あ、そう?』

急に声のトーンを上げ笑みを浮かべた章ちゃんに、また騙された!と思ったけれど、もう遅かった。


でも、なんとなく曖昧なまましてしまった気がしてならない。
『#name1#がいい』とは言われたけれど、好きとか付き合ってとか言われたわけでもないし、私からも気持ちを伝えていないんだから。

とりあえず、恥ずかしいから章ちゃんが起きる前に服を着ようと、私の上に乗っている章ちゃんの腕をそっと下ろす。ベッドから静かに足を出すと、後ろからお腹に腕が回ってきてベッドに引き摺り込まれた。

『...もう起きるん?』
「...う、うん、」
『えー...もっかいヤりたーい』

昨日と違って随分可愛いな...なんて思ったけど、私以外の人にはいつもこうやって甘えた口調だったりする。

『ダメ?』
「......だめ、」
『なんで?』
「...なんでって、...講義、出なきゃ、」
『...ふーん』

拗ねた様に唇を尖らせた章ちゃんは、私を解放し横目で見た。

『...#name1#が冷たーい』
「...そんなことないでしょ、...ほら、章ちゃんも取ってるやつじゃん。行こ?」
『...面倒臭い』
「...家に一人で置いてけないよ、」

ますます不機嫌そうな顔をした章ちゃんがバサっと布団を捲りベッドから立ち上がった。下着もつけていないから目のやり場に困る。

『#name1#ー、パンツなーい』
「え、ぱ、パンツ、?」
『探してやー』

探してと言われても、私も全裸のままだからベッドから出られない。床の服を拾い上げていた章ちゃんが、ベッドの私に目を向けてベッドに乗り上げた。

いきなり布団を撒くられて隠す物がなくなり慌てた私の上に章ちゃんが乗った。布団の中から出てきたパンツを目の前にぶら下げて『あった』と笑った。

全然隠れていないけど、なんとなく身体を手で隠す。章ちゃんはニコニコしながら私を見ていた。すると急に傾けられた顔が近付いて唇が触れる。

『...我慢してみたけど無理やった』
「...え!ちょ、っ」

章ちゃんの手が私の腕を退かして胸を包んだ。そのまま唇をキスで塞がれ胸や腰を章ちゃんの手が優しく撫でる。

「...章ちゃっ、」
『...はよ終わらせれば行けるんちゃう』
「そうじゃない...っ」
『もう止められへんし』

キスをして片手で胸を愛撫しながら、もう片手は下に触れていた。思わず腰が揺れて恥ずかしい。下を撫でる章ちゃんの手で昨日の行為が蘇ってきて一人赤面した。

『...何それ。めっちゃ可愛い。何考えてるん?』

赤くなった私を見て章ちゃんが笑いながら聞くから、なんでもない、と顔を背けた。

『...エッチやなぁ、#name1#』

聞こえて来た小さな呟きと笑う章ちゃんに、ますます羞恥心を煽られて目を閉じた。

奥まで入り込んでぐるりと中を掻き回されて声が漏れると、中の指が更に激しさを増した。まだ入れられたばかりなのに、自分でも溢れてきているのがわかる。態と音を立てるように動かすから、聴覚までも侵されていく。

『...もう挿れていい?一回イきたい?』

どっちと答えても恥ずかしいから返答に困る。
私の返答を待っていた章ちゃんが答えない私にキスを落としながら足の間に入った。

『どうにでもして。ってことやな』

耳元で囁かれ、そうじゃない、と反論しようとしたところに、章ちゃんが入って来て言葉が詰まった。

緩く腰を揺らしながら私を見つめるその顔は、優しいのにどこか妖艶な雰囲気で、思わず目を逸らした。
私の顔の横に手をついて、昨日とは違ったゆったりとした律動を繰り返しながらじっと私を見ている。

『...俺なー、こういうの、好き』
「...え、っ、」
『ずっと味わってんの。イかんくてもええかも。ずっとこのままで』

いつも毒舌の章ちゃんじゃないみたいな、穏やかな柔らかい表情にドキドキする。肘をついて至近距離で見つめられると、ゆっくりとキスをして柔らかく舌が絡んだ。たまに奥を突かれ声が漏れると、思い出したように言った。

『...あ、講義』
「...え、...あっ、」
『ゆっくり味わうのは、また今度な、っ』

急に腰を掴まれて奥に突き立てられたから、大きな声が上がる。さっきまでの優しい顔はもうない。ちょっと意地悪な、楽しんでいる様な表情で章ちゃんが笑った。

昨夜、時間を掛けて探るように愛撫されたから、もう全部知っているみたいに余裕たっぷりに私の感じるところを突き上げる。

章ちゃんの腕を掴んで耐えていると、キスをして舌が絡んで解けて、章ちゃんの舌が首筋を這った。ぞくぞくとした感覚に体が震える。するとチクッとした痛みがあって、章ちゃんが顔を上げて口の端を吊り上げた。

すぐに激しい律動に襲われて、あっという間に絶頂へと導かれる。

『...もう、っ?...早っ、もうちょっと、頑張って、っ』

息を切らしながらもまだまだ余裕を感じる。頑張ってと言った割に体に手を這わせて煽るから章ちゃんの手を掴んだ。

「...しょ、ちゃん、...も、無理、っ」

何も言わず笑った章ちゃんが、足を抱えて奥を何度も突く。
体の奥から押し寄せる快感の波に飲まれて身体がびくりと跳ねた。



『もう昼やー。腹減ったー』
「.............。」
『怒ってるん?』
「怒ってる」
『3回もイったくせに?』
「...うるさいっ、!そ、外だよ、!」
『...お前がうるさいわ、』

イかなくてもいいかも、とか言ったの誰だったっけ。もうちょっともうちょっとと言われて、ずっと何度も我慢してなかなかイってくれないから、結局もう昼。

大学の中を並んで歩きながら、隣の章ちゃんを盗み見た。
付き合うとかそういう話をしていないことに、若干不安を抱いていた。ゆっくり話す時間はなかったけど、このまま体だけの関係になってしまったらどうしよう...。

『あ、ヤスくん遅ーい!』
『あ、おはよー』

昨日章ちゃんにベッタリだった子。友達の友達だから私はあまり知らないけれど、軽く頭を下げた。
気に入らない感たっぷりに私を見たその子の視線が、私の首筋で止まってそこを凝視する。...きっと、痕がついているんだと思う。その視線が怖くて、章ちゃんに先に行ってるね、と言って返事を待たずに歩き出した。

『昨日急に帰っちゃうからつまんなかったよー』
『ハルの周りいっぱい居ったやんかー』

歩きながらも聞こえてくる会話が気になって、建物の陰に入って聞き耳を立てた。
章ちゃんて、本当に私以外には甘えた口調だ。

『......あの子と、帰ったの?』
『...んふふ、どうやろ』
『えー...マジで?』

自分の話題にドキッとして角から覗いたら、章ちゃんが女の子の腕を掴んでいたから、胸が苦しくなった。

『あのな、ちょ、聞いて!』
『ん?』
『俺な、実はな、...中学ん時から#name1#のこと好きでな!んで、昨日やっとそうなれて、めっちゃ嬉しくて!』
『...へー、そうなんだ、』
『...だから、応援してな?』

女の子にニッコリ笑った章ちゃんを見ながら、私は頬を染めていた。

きっと章ちゃんは、女の子の私への視線に気付いて上手く切り抜けるためにあんな言い方をしたんだと思う。でも、それでも嬉しいものは嬉しい。

女の子に手を振って背を向けた章ちゃんがこっちに歩いて来た。覗いていた私と目が合うと、行くぞと顎でしゃくった。

少し後ろを歩いていたら、後ろに手が差し出された。驚いて立ち止まると、振り返った章ちゃんが戻って来て私の手を取り握って歩き出した。

『...めっっっちゃ苦手なタイプや』
「...そう、なんだ ...」
『いじめられたら困るやろ』
「...あ、うん、ありがとう、」
『ほんっま感じ悪いねん、あいつ。...#name1#見る目が特に』
「...章ちゃんが好きだからだよ、」
『#name1#は?』
「...え?」
『#name1#は好きちゃうの?俺んこと』
「......好きだよ。...中学の時から、」
『奇遇やな』

私を横目で見てから、顔を前に戻して章ちゃんが笑った。他の子に向けている笑顔でも、私にだけ見せていた意地悪な笑顔でもなく、満足そうに口角を上げたその顔を見て思わず笑みが溢れた。

『...ほんまやで』
「...何?」
『ずっと、は言い過ぎやけど、ほんまに好きやった。中学ん時』
「...勿体無いことしたね」
『自分で言うなや』
「違う!両想いだったのにってこと!」
『...ふーん』
「...照れてる?章ちゃん、もしかして照れてんの?」
『あ、ヤスくーん!#name1#ー!』
『はいはぁーい!...お前マジで殺すぞ』

あっちで呼ぶ友達に笑顔を向けて手を振ってから私を振り返ったその表情は、さっきの笑顔と比べ物にならないくらい怖い!
けど、前を歩く章ちゃんの耳が赤くなってたのは見逃さなかった。


End.

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