UNDERMINE
大きく口を開けて章大を飲み込むと、先端に歯が当たって章大が僅かに声を漏らした。慌てて見上げれば、章大が呆れたように私を見下ろしていて口の端を吊り上げる。
『...んふ、』
ごめん、と言い掛けたら鼻で笑われて言葉を飲む。上がった口角に釣り合わない色のない冷たい瞳は、私を見下すように見つめていた。
『...ほんっまにへたくそやなぁ』
間延びした口調も柔らかい声も章大なのに、知らない人みたい。今までの章大じゃないみたい。
思わず目を逸らすけれど、顔を傾けて私を覗き込み、その視線から逃がしてはくれない。それでも視線を合わせず章大を咥内に再び誘い込んだ。唇で挟んでスライドさせながら目を閉じれば、章大の掌がピタピタと私の頬を軽く打つ。
『なぁ、俺のことイかせる気あるん?無いやろぉ?』
ちらりと章大を見上げると、可笑しそうに笑いながら私の髪を優しく梳いた。顔にかかる髪を章大の指が撫でるように払い、指に巻き付ける。それに僅かながら優しさが見えた気がして少し安堵した。
『...こう、さぁ、もっと奥まで』
章大が腰を揺らして先端部分が喉の奥に一瞬当たり、思わず後ろに引いた。
小さな舌打ちが聞こえたからドキリとしてすぐにまた咥え、自ら舌を這わせながら奥へと誘い込む。
『ちゃうわ、もっと奥』
唇できつめに挟むけれど、長時間の愛撫で震える唇に力が入らない。また歯を当ててしまうことがないように遠慮がちに少しずつ深く飲み込んでいく。
けれど聞こえてきたのは快感で漏れる吐息でも声でもなく、溜息ひとつ。
『へたくそ』
頭頂部の髪を掴んだ章大の手がぐっと私の頭を押し、喉の奥まで一気に章大の先端部分が押し込まれてえずく。すると章大のそこがひくりと揺れ、僅かに質量を増した。
『こうすんねんて』
吐き出された吐息は微かに熱を帯びているように感じる。けれど、もう一度頭を押し付けられて息が詰まり、思わず頭を後ろに引いて章大を見上げた。
『...なにその顔。苦しいんや?』
頭をポンポンと撫でる手は優しいのに、私に向けられる笑みは意地悪だ。
『俺はこれが好きやねん。覚えといてな?』
頬を滑る指にびくりと体が揺れた。それを見て、ふっと息を漏らして笑った章大は、片方の掌で頬を包み、目を細めて私を見つめる。
『...そしたら、また可愛がって遊んだるよ』
子供に言い聞かせるような優しい口調は私の鼓動を早めた。私を見る鋭い目に、優しさはない。
両手で頬を包まれて章大が咥内から出て行くと、噛み付くようにキスが与えられて唾液が流し込まれる。痛いくらいに髪を掴んで角度を変えられ、甘く見せかけた切なく痛いキスに心までも蝕まれ始めた。
End.
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