Addicted to you
荒い呼吸を整える時間も与えられず、更にキスで塞がれてますます息が上がる。
何度も繰り返し体を重ねて、それでも尚、私を求めるすばるは、私の体から出ていこうとしない。
疲労感でふわふわとした頭の片隅にもまだしっかりとした部分が存在していて、緩やかになった律動の合間に部屋を見回した。
棚の上の時計は、多分故意に伏せられていて、他に時計を探すけれど見当たらない。
...どのくらい時間が経ったんだろう。帰らなければいけないのに。
『戻るつもりなんか、?』
動きを止めたすばるが、私の髪をくしゃりと掴んで目を合わせながら聞いた。思わず目を逸らすと、ふっと笑ったすばるが律動を再開して、私の奥を抉るように腰を押し付ける。
『戻れる思てんねやっ?』
「違うっ、」
すばるの言うそれは“帰る”ではなく、多分、私の夫婦関係を指している。
自分でもよくわからない。
すばると一緒に居たかったから関係を持った。けれど夫を、家庭を、全て捨てたかったのかと問われたら、よくわからない。
私はどうしたかったんだろう。
すばると一緒になりたかったのか、夫と別れたかったのか、それとも理解して側にいてくれる人が欲しかっただけなのか。
『アホ抜かすな』
「...っ、」
ぐっと奥に押し付けながら首筋に歯を立てられて息が詰まる。思わず肩を押せば、すばるが私を見下ろして顎に手を掛け横を向かせられた。その首筋にまたすばるの舌が這ってキスを落とし、低い声が耳元で囁く。
『痕付けたろかっ、...なぁ』
「...ダメだよ、」
睨むようにすばるを見たけれど、すばるは口の端を上げてふざけたように笑う。
体を起こして私の腰を掴むと、一気に激しい律動で私を追い込む。奥歯を噛み締め、すばるの手を掴んで耐えていると、すばるの片方の掌が私の手を上から強く握り締めた。
『...なら、はよ別れろや』
トーンの落ちたその切ない声に、胸が締め付けられる。目を合わせれば、荒い呼吸を繰り返しながら私を高めるすばるが、真っ直ぐに私を見つめていた。
「...無理だよっ、」
すぐになんて決められない。そんな覚悟はしていなかった。
私の言葉に表情を変えないすばるの瞳だけが揺れているように見えるのは、私の目が潤んでいるせいだろうか。
見たこともないようなすばるの顔。こんな顔をさせたかったわけじゃないのに。
これはきっと私へ与えられた罰だ。自分の一時の感情に任せてすばるへ逃げた、私への罰。
『...お前今誰に抱かれながらそんなん言うねん』
口の端を上げて目を逸したすばるに思わず手を伸ばして引き寄せた。
すばるを愛してる。手放すことは出来ない。苦しくてどうしようもない。確実にすばるに傾いてしまったこの気持ちをどうしたらいいのかわからない。
私の体を抱き締めてますます激しくなった律動。耳元の耐えるようなすばるの声に涙が零れた。
End.
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