Addicted to you
顔の横に付かれた手に、たまらなく緊張が高まる。自分の唇が震えているのに気付いて私の上の亮を見遣ると、亮の手が私の髪を優しく撫でて微笑む。
『...怖いんや?』
その言葉で目を逸した私を暫く見つめてから、ベッドに肘を付いて私と距離を詰め、覗き込むようにして亮の唇が触れた。
怖いに決まってる。だってシてしまったらもう戻れない気がしていた。
『俺もやで』
口の端を無理矢理上げたように笑った亮が、宥めるように何度も唇を啄み、髪を撫でて優しく見つめる。
気持ちは夫よりも亮にあって、ずっとこうしたいと願って来たけれど、いざとなると躊躇いでいっぱいになっていた。
やっぱり、愛してる。...愛してるのに。
「...じゃあ、」
やめておこうか。...どこかで、そんな言葉を待っていたのかもしれない。ほんの30分程前までは、初めて体を重ねられることに大きな喜びだけを感じていたのに。
『やめへんで』
真っ直ぐに私を見た亮が言った。
髪を撫でる手は頬に滑って、意思の強い瞳とは逆に、少し震えながら頬を包む。
触れた唇の隙間から舌が入り込んで私の舌を絡め取ると、だんだん深く絡ませながら亮のそこが私の潤った入口に触れた。
「...亮っ、」
けれど、私の口から出てきたのは拒否ではなく彼の名前だけだった。見つめたまま言葉に詰まった私に微笑みを向け、亮が私の中に入ってくる。
戸惑いも躊躇いも確かに存在するのに、嬉しくて幸せで興奮していて、自分の感情がよくわからない。
『...俺の方が愛してんで』
亮が笑っていた。さっきまでの緊張したような表情は、少しだけ柔らかくなって私を見つめる。
緩やかに律動する亮の吐息に含まれた快感で僅かに漏れる声に気持ちが昂る。快楽に飲み込まれそうな自分が何だか怖くて、シーツを握り締めた。
『旦那にバレへんかったらええんちゃう?』
急に現実に引き戻されたように不安が過ぎる。
『...せやろ?』
このまま何度もこの関係を続けて行くのが怖い。まだ一度、たった今繋がったばかりなのに、もう離れたくないと思ってしまう自分がいるから。
何もかも捨てて、全く新しい道を進む覚悟を、私は出来ているんだろうか。
「......でも、」
『...もう無理やで。止められへん』
ごめんな、という消えそうな呟きに喋る間も与えられず、激しい律動に襲われて言葉も戸惑いも全て奪われた。
End.
- 5 -
*前次#
ページ: