euphoria


彼という愛の媚薬


手を引かれてリビングに入ると、その手をぐっと強く引かれ抱き寄せられた。腕の中から章大を見上げれば、口角の上がった唇が降りてきてキスを落とす。唇が触れ合ったまますぐ横のソファーに誘導され、2人で腰を下ろした。
啄んで離れ、唇を押し付けられながらソファーにゆっくり倒れ込めば、唇に舌を這わせるから開く。侵入してきた舌が柔らかく私の舌を絡め取って愛撫する。
機嫌を取るように髪を撫で、甘く絡むようなキスを繰り返し、最後に頬を包んで子供のように唇を触れさせて章大が起き上がった。

...まだ足りない。何にも考えられないくらい、満たして欲しいのに。

章大の腕を掴んで強く引くと、再び私の上に倒れ込む。背中に腕を回して引き寄せ、自分から唇を触れさせて誘うように唇を柔らかく食んだ。章大が私の髪をくしゃりと握ると息遣いが変化し、髪を乱しながら深く舌を絡めた。


柔らかく肌を這う指に体がぴくりと跳ねる。深く唇を合わせたまま繰り返される愛撫に次第に息が上がる。私の中に奥深くまで誘い込んだ章大の指は、優しく強くそこを掻き回して、徐々に私を昂らせていく。

絶頂が近付き蠢く私の中を的確に刺激して高みへ導く。声を漏らせば更に私を追い詰め、快楽の波が押し寄せる。
縋るように腕を掴んで章大を見上げれば、切なげな表情から笑みを作ってキスを落とす。その複雑な色をした瞳に見つめられて、快楽の波に攫われた。

荒い呼吸を繰り返す私に啄むように章大がキスを落とす。呼吸の隙を与えるように短いキスをしながら髪を撫でる章大のTシャツをくい、と引くと、Tシャツを脱ぎ捨て素肌が触れる。
舌で唇をなぞれば、その舌を柔らかく食まれ、舌を絡めながらベルトを外す音が聞こえて胸が高鳴る。

舌を愛撫するように唇で食みながら私を軽く引き上げ、背中と腰の下にクッションを入れてくれた彼を見上げると、蕩けて溢れるそこに宛てがう。それだけで痺れるようにじわりと体が疼いて腰が浮いた。その腰を抱きゆっくりと中に埋め込まれ、快感に耐えるように章大の腕を掴む。

味わうようにゆっくりと腰を進め、私の中を押し広げていく章大の薄く開いた唇から漏れる吐息にすら、体が刺激されてしまう程に敏感になっている。

もう頭の中には章大しかいなかった。
見上げた章大は艶を帯びた優しい瞳で私を見ていて、その瞳の中に映されてしまえば、魔法がかけられたように体が熱く昂る。
吸い付くような心地良い肌が触れ合い、胸がいっぱいに満たされて、幸せで苦しくて、泣きたくなる。

熱く荒い吐息に混じって僅かに漏れる耐えるような声が愛おしい。快楽に顔を歪める章大は美しくて、その艶が媚薬のように更に私を高める。
始まりの日ような激しいセックスではないのに、章大を憶えた体は受け入れるだけで快楽に溺れてしまいそう。

ひくりと奥から迫る強い快感の予感に目をきつく閉じれば、章大が頬を撫でる。

『イきそ、っ?』

頷けば章大が律動を早めた。もう私の体を理解したかのように感じるところばかり刺激して追い詰めていく。
仰け反る首筋を舌が辿り、耳朶を食み、耳に舌を這わせ、厭らしい水音に聴覚さえも侵される。
ぐっと奥に突き当てられ、そこまで迫った快楽を迎えようとしているところを、急に繰り返し激しく突き上げられ、一気に絶頂を迎えた。

最後まで搾るように数回中で腰を揺らした章大が、震えるように荒い吐息を漏らしながら私の胸に倒れ込む。その背中を抱き締めると、胸元にキスを落として甘えるように私の腰を抱き、頬を寄せた。

ベッドよりも狭いソファーで体を繋げたまま、言葉も交わさずお互いの鼓動と体温をただ感じていた。
ソファーの端に掛かっていたブランケットを手繰り寄せて広げた章大が 、それを背中から被り、私を包み込む。

驚く程に気持ちが落ち着いていた。ここに来た時の不安定な自分はもういない。
胸の中にあった靄は、どこかに消えていた。

目の前にある茶色に染められた髪を遊ぶように撫でる。それでも動かない彼は、微睡みの中にいるのかもしれない。
子供を寝かし付けるように頭を撫で、顔を傾けて章大を覗き込むと、その目は開いていた。

「...寝てるかと思った」

ぱっと視線をこちらに寄越して、ゆっくりと私を見上げた章大が笑顔を浮かべた。

『...ずっと入っときたいなーって思てた』

章大が体を上にずらして私に優しくキスを落とすと、入ったままの彼がぐっと押し付けられて中がひくりと蠢く。それによってまた少し彼のそこが質量を増したように感じた。

『離してくれへんからもうちょっと入っとこかな』

恥ずかしくて顔が少し熱くなる。色付いた私の顔を見てふっと笑った章大は、また元の位置に戻って私の胸に耳をくっつけた。

『...ずっと、入ってたい...』

呟くような小さな声が、妙に切なげに聞こえて堪らなく胸が締め付けられた。

早くなった鼓動に、章大は気付いただろうか。
...気付いていないはずがない。
それならいっその事、笑ってくれたらよかったのに。なにドキドキしてるの、って、笑ってくれたらよかった。
ずっとこのままで居られないことなんてわかっているのだから、せめて誤魔化して、笑い合えたら。



- 13 -

*前次#


ページ: