貴方の視線が
“ 今日の夜行く ”
すばるからメールが来た。
会うのはあの日以来、10日振りだ。
長く会わないのは珍しいことではないけれど、今回は忙しいと言うよりは、すばるが私を避けていた、というのが正しいかもしれない。
章ちゃんとも、会っていなかった。
何度かくれた電話とメールで、忙しいらしいのは知っていた。それでも、章ちゃんは自分のことより私の心配をしていた。...それは素直に嬉しかったけれど。
すばるに会うのは少し怖い。
今も緊張している。
そわそわしながら部屋を片付けていると、玄関のドアがガチャガチャと合鍵によって開けられた。
「...おかえり」
『...おー』
「ごはん、食べる?」
『あんの?』
「うん。足りる、かな」
『じゃあ、いただきます』
この前のことがあったからか、少し気まずそうにしているすばるに苦笑いが漏れる。
二人でご飯を食べたのなんて、どれくらい振りだろう。
テレビを付けているから、会話はしていない。私がテレビに目を向けていると、すばるが私を見た気がした。視線はそのまま、テレビから外せなかった。
そんな時、テレビのCMに彼らが出てきて、なんていうタイミングでこのCMを流すんだ、と思う。
すると、テレビに視線を移したすばるは、
『最近、ヤスと会ってないねや?』
と言った。
急に振られた話にドキリとした。
「...うん。忙しそうだしね」
『...まあな』
「今度ご飯くらい行こうかな」
『おう』
「章ちゃん、元気?」
『...ちょっと怪我してんけど、差し支えないし』
「...え、」
だから来なかったのだろうか。私に心配を掛けたくなかったから。
電話でもメールでも怪我のことなんて一言も言わないから、きっとそういう事なんだろう。
『...大丈夫や。大した事ない』
固まってしまっていた。すばるの前だというのに。
変に思われていないだろうか。
すばるには、“幼馴染み”を心配したように映っただろうか。
それでも、章ちゃんのことが頭から離れなかった。
すばるがお風呂に入っている間に後片付けをして、ソファーに座るとすぐにすばるがお風呂から出てきた。
冷蔵庫から缶ビールを出すと、
『たまには付き合わへん?』
と言うから、うん、と言ってすばるからビールを受け取った。
二人でソファーに並んで座った。
すばるが一本目を飲み終えテーブルに缶を置くと、私の髪を掬って避け、首筋の痕を見た。ビクッと少し体が揺れてしまった。
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