呼び出しの意味
数日後の深夜、突然携帯が鳴った。
章ちゃんだ。
こんな夜中に、何かあったんだろうかと慌てて通話ボタンを押す。
『あ、#name1#?、ちょ、ドア開けてっ!』
「え、あ、うん。ちょっと待って」
玄関のドアを開けると、苦笑いの章ちゃんがひどく酔ったすばるを抱えるようにして立っていた。
『ちょっと...飲ませすぎ、やな。飲ませたのは俺ちゃうけど』
「...すばる?大丈夫?」
『...ん、』
『ダメ、みたいやね。#name1#んちの方が近かったから来てもうた』
「それは、いいんだけど...」
『上がらしてもらうで?渋やん!靴脱いで!#name1#んちやで!』
すばるをベッドに寝かせた章ちゃんがリビングに戻って来た。
すばるは寝ているけど、3人の空間なんて久しぶりだ。
「...お茶、いれるね」
『...あー、と、...うん、』
さすがに章ちゃんは迷ったみたいだったけれど、ソファーに腰を下ろした。
この前と同じハーブティーを入れて出した。
『ありがとー。…うま』
「...すばる、どうしたの?」
『んー...なんか横ちょと飲んでたみたいやねんけど、荒れて、手ぇ付けられへんくなって、挙げ句ヤス呼べーとか言うたらしくて。行った時にはアレやった』
苦笑いしながらすばるを指差した。
私も苦笑いを返す。
「珍しいね、」
『そうやねん。横ちょも止められへんくらいやから...なんかあったんかなって』
「...なんか、?」
『...渋やん、俺呼んで何話そうとしたんやろ』
小さな声で言った。
下を向いていた章ちゃんが、顔を上げずに目だけを私に向けた。
“ ...ヤスの匂いがする ”
あの時の言葉が頭の中に蘇った。
急に、痛いほどに心臓がドクドクして、唇を噛み締めた。
『...や、わからんで?』
「...........。」
『...ごめん、無駄にビビらせてもうたな』
章ちゃんは笑って『帰るわ、』と言って立ち上がった。玄関へと見送りについて行く。スニーカーを履いている章ちゃんの後ろ姿を見ていたら、言い様のない不安が全身を駆け巡った。
立ち上がって振り返った章ちゃんは、私の表情を見て少し困ったように笑い、いつものように私の頭をぽんぽんと撫でた。
章ちゃんと、キスがしたかった。
私が思った事が伝わったのか、章ちゃんは俯いて小さく首を横に振って私に背を向けた。そのままドアに手を掛けると『...じゃあな、』と言って玄関のドアを出て行った。
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