痛すぎる愛の言葉
しばらくの間、章ちゃんは来なかった。連絡もなかった。
理由は分かっている。撮られた後は、しばらく外に出たりするのを制限するのだと、前に聞いたことがあったから。
けれど、ここに来ないのは、その女優さんと本当に関係があるからかもしれないと思うと、胸が痛い。
それでも、少しほっとしたのも確かだ。
会いたい気持ちはあったけれど、会うのが怖かった。決定的な別れのコトバを言われてしまうかもしれない。
別れも何も、私たちは付き合ってもいないのだけれど。
夜に突然、すばるから
“ あと15分で着く ”
とメールがきた。
タクシーに乗り込む姿を見たあの日から、会うのは初めてだった。
私は、決心していた。
もうこの想いに決着をつけようと。
本当に15分ほどでインターホンが鳴らされ、玄関を開けた。
酔っている様子のすばるが、入ってくるなり私に抱き付いて首筋に顔を埋めた。ふわりと、知らない香水の香りがした。
「すばる、話が、あるんだけど」
『...ヤらせて』
「すばる、っ、」
噛み付くように唇を奪われ、頭を押さえつけられた。息が苦しくて肩を押すけれど、離してくれる気配はない。
壁に押し付けられ、キスをしたまま服の中に入って来たすばるの手が、熱い吐息とは逆にひどく冷たくて体が跳ねた。胸の膨らみを、痛いくらいに強く揉まれ顔が歪む。
未だ満足に呼吸もさせてもらえず、合間にわずかに取り入れた空気に混じって香ってくる女物の香水の香りに、諦めのような感情が湧いて、抵抗する気力を奪われた。
玄関に繋がる廊下の壁に背を預け、片足はすばるに持ち上げられている。
絶え間なく腰を打ち付けられ、崩れそうになるけれど、すばるに支えられる。
声が漏れる度に、もっと聞かせろとばかりに激しく奥を突き上げられ、すばるにしがみつく。
『#name1#、こっち見ろや、っ』
言われて目を開ければ、快感に顔を歪ませたすばると目が合った。するとすぐに再び唇を押し付けられ、舌が割り入って絡められる。
幾度となく体を重ねて知り尽くされた弱い場所を、突然凄い勢いで攻め立てられ、声も出せずに果てて崩れ落ちた。
壁にもたれ掛かっていた私を床に押し倒し、再びすばるが入ってきた。
挿入だけで身体がビクビクと跳ねて声が漏れる。達したばかりの身体が悲鳴を上げ、意識が途切れた。
頭を優しく撫でられたような感触があった。瞼が重くて、それでもなんとか目を開けようとした時、玄関のドアが閉められた音がした。
やっと開いた目で周りを伺えば、私はベッドの上にいて、当たり前のようにすばるはそこに居なかった。
そのまま目を閉じた。
今日は眠れそうだ。このまま何も考えずに寝てしまえばいい。
『 あいしてる 』
眠りに落ちる直前、頭に浮かんだのは、意識を手放す時にわずかに聞こえた、すばるの声だった。
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