ココロに鍵を
翌朝目を覚ますと、外は薄暗かった。窓から外を見れば、厚い雲に覆われた空から静かに落ちる雨。それを見ていたらなんだか余計に気分が重たくなったから、カーテンを閉める。
会社に電話を掛けて、今日は休ませてもらった。ずる休みなんて初めてだった。
今日は金曜日だから、3日間あれば気持ちの切り替えが出来ると思った。
昼間にしては少し暗い独りの部屋。
雨の日特有の静けさ。
昨日の行為のせいで痛む腰。
それが余計に私を孤独に感じさせた。
章ちゃんが頭に浮かんだけれど、章ちゃんは私のモノではないのだと自分に言い聞かせて、携帯の電源を切った。章ちゃんに手を伸ばしてしまわないように。
家に食べるものなんて何もなかったけれど、出掛ける気分にもなれないし、お腹も空いていないから、またベッドに倒れ込んだ。
3日間、ずっと部屋にこもっていた。
買い物にも行かず、インターホンが鳴っても出なかった。すばるだったら合鍵を持っているから、インターホンが鳴るとビクビクしていたけれど。
明日から仕事だし、さすがにずっと何も食べていないのはまずいと思い、コンビニへ向かった。
あれから、雑誌類には目を向けないようにしている。
コンビニの扉を入ってすぐに、後ろから手首を掴まれた。驚いて振り向くと、怖い顔をした章ちゃんが立っていた。
『お前何しててん!』
「ちょっと、章ちゃん、」
店の中で大きな声を出すから、店員が怪訝な顔をして私たちに目を向ける。慌てて、逆に私が章ちゃんの手を掴みコンビニの外へ出た。私の手を振り払った章ちゃんは、睨むように私を見つめる。
『メールも返って来ぇへんし電話も繋がらんし!なんでずっと携帯切っとんねん!』
「.......、」
『ここに居るっちゅうことは、家に居ったんちゃうんか?なんでピンポン鳴らしても出ぇへんねん!』
「...章ちゃん、だったんだ...」
『だったんだ、ちゃうわ!心配するやんけ!』
「......、ごめんなさい...、」
『......んもー!アホ!』
「.............、」
『......よかった...』
突然そんな事を言うから、泣きそうになってしまって俯いた。
『...何買いに来たん、?』
「...ごはん...」
『ほんならどっか食いに行こ。もう入れへんもん』
「でも、っ」
週刊誌のことが頭をよぎって、大丈夫なんだろうかと心配だったけれど、言葉に詰まった。
『...何?』
「...、ううん、」
『...俺は大丈夫やで』
「...........、」
『行こうや。飯。たまには行ったってええやんか』
「うん、」
章ちゃんが言った大丈夫は、きっと私の中にあった不安の答えなのだろうと思った。でも、章ちゃんが何も言わないから、何も聞けなかった。
一度家に戻って着替える。メイクはしていないけど、章ちゃんが車で来ているからしなくていいと言ったからしないで家を出た。
玄関を出て、家の外で待っていた章ちゃんに、お待たせ、と言って鍵を締めていると、いきなり章ちゃんが後ろから抱きついた。
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