euphoria


愛という名の想い


「ちょ、章ちゃん、外だよ、」
『...なんか#name1#...めっちゃ痩せてへん?』
「...そう?」
『今後ろ姿みたらびっくりした...』
「...大袈裟だよー」
『.......後でゆっくり聞くわ』

すぐに離れた章ちゃんは先を歩いた。
やっぱり章ちゃんは鋭い。
いつも隠し事をしたってすぐにバレてしまう。気づいて欲しくない事まで。

車に乗ると章ちゃんは、何も話さず、ただ前を向いていた。だから私も同じようにしていた。

章ちゃんの行きつけだというお店にやって来ると、章ちゃんはお店の人に私を紹介した。

『幼馴染みの#name1#ですー』
「初めまして。よろしくお願いします」
『これまた可愛い子連れちゃってー。また写真撮られないように気ぃ付けんと!』
『ははっ、大丈夫っすよー』

章ちゃんが私をちら、と見て答えた。
とてもじゃないけど、今の私には笑えない冗談だ。

奥の個室に案内されて部屋に入る。
すぐにメニューに目を通した章ちゃんは、店員を呼んで次から次へと注文する。章ちゃんの優しさは分かっている。私があまり食べていないと気付いてる。

章ちゃんは、何にもなかったみたいに、最近のことを話してくれた。仕事のことだったり、プライベートのことだったり。私の話は一切せずに。
何も言わないけれど、私が食べているかチェックしているのも分かっていた。今は食べる事を優先してくれたんだと思う。

お酒は飲んでいないから、食べ終わって少ししてから店を出た。
車に乗り込んで走り出すと、すぐに章ちゃんが聞いた。

『さ!...んで?渋やんと何かあったんちゃうの?』

突然ストレートに聞くから戸惑う。

『...俺が首突っ込むことちゃうかもしれんけど。...や、もう十分突っ込んでもうてるやん...むしろ突っ込むどころじゃないよなぁ...』

一人でブツブツと言っている章ちゃんを見て、少し笑ってしまった。
すると章ちゃんも笑った。

『やっと笑ったなぁ』
「...そうだっけ、?」
『コンビニで会うた時、顔色悪かったし』
「...そう?」
『もうダメ、って顔に書いてあったで』

笑う章ちゃんに対して苦笑いしか出ない。
それは多分、すばるではなくて、章ちゃんのせいだから。

章ちゃんが心配してくれるのは嬉しいけれど、あの女優さんのことが気になっているのも事実で。聞きたい気持ちと、聞きたくない気持ちがぐちゃぐちゃに混ざっているから、どうしていいかわからない。ただ、関係に終りを告げられるのが、酷く怖かった。

もう、誤魔化し切れない。
随分前から、本当はわかっていた。
私の心は、もう章ちゃんにある。

けれど、すばるを傷付けることになるのは確かで、章ちゃんとすばるの関係も心配だ。
だから、私が今すぐに章ちゃんに想いを告げることは出来ないと、よくわかってる。

『...#name1#、ほんまはしんどいんちゃうの?』
「...え?」
『渋やんのこともそうやけど、俺らがこんな関係になってもうたから、余計しんどいんちゃう?』
「...え、どうして、」
『...やって#name1#、隠し事苦手やん。あん時俺がなんもせんかったら、今こんな苦しなってなかったと思うで...?』
「...違うよ、章ちゃん、」
『...俺はな、正直言うと...しんどい』

横目でちらっと私を見た章ちゃんは、すぐ前に向き直った。



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