大事、だから痛い
「章ちゃん、」『#name1#、』
同時に呼び掛けてしまって、章ちゃんが笑った。
『あはっ、何?』
「私、昨日のこと、すばるに話してもいいかな...?」
『...俺も今同じ事言おうとしてた』
俯いて口角を上げたまま言った章ちゃんの横顔を見つめていた。
「章ちゃん、私ね、すばると...別れようと思ってたの」
『...そう、なんか...』
「だから、私が言う」
『...ほんなら俺は、後で話すわ』
「...うん、」
正直すごく不安だった。すばると話をすることが。今は自分のことよりも、章ちゃんとすばるの関係の方を心配していた。
少しの沈黙の後、章ちゃんが静かに言った。 苦しさを含んだ表情を浮かべて。
『...#name1#。俺な、渋やんを裏切ってもうたんと同じやけど、#name1#と寝たこと、後悔してへんで。...ここは、痛いけど、』
自分の胸の辺りに拳をあてて俯いた。
章ちゃんの気持ちは痛いほどわかる。だって私も同じだから。
でも、章ちゃんはすばるとは離れるなんて出来なくて、ずっと大切な人には変わらないから、余計に辛いはず。
「...私の正直な気持ち、言ってもいい?」
『うん、何?』
「私ね、週刊誌...ショックだった、」
『...え、週刊誌...』
「中、見れないくらいショックだった。すばるのことより、」
『...ごめん。...?ごめんておかしいか。#name1#、気にしてくれてたんや、』
苦笑いみたいな笑みを浮かべて唇を噛んだ章ちゃんから目を逸らして俯く。
「章ちゃん、私ね...昨日のこと、すごい嬉しかった。...でもね、付き合うとかは...少し、待ってくれないかな、」
少し驚いたように目を丸くした章ちゃんは、ふっと笑って言う。
『...どんだけやねん、考えてる事、全部同じやんか。双子みたいやな』
「双子みたいなもんだよ。今までずっと一緒に居たんだし」
『俺も、今の気持ち、言うてもいい?』
「...何?」
『俺な、渋やんが#name1#のこと泣かしても、憎いとか思ったことは、不思議となくてな。でな、めっちゃ大事やねん。渋やんも。だから...正直に言うと、時間掛かるかもしれん...』
わかる。わかってるよ、章ちゃん。
昨日の章ちゃんを見ていたら、それは全部伝わってきた。章ちゃんは最後まで、迷っていたから。
「私は、大丈夫だよ」
『...ごめん、』
また傷ついている。
後悔はしていないと言っていたけれど、きっと自分を責めている。
だから、わざと明るく言った。
「じゃあさ!章ちゃん!しばらく家に来るのは無し!私と写真撮られたりしたら、洒落になんないよ?」
キョトンとして私を見た章ちゃんは、笑って言った。
『せやな。本命と撮られたら、そらあかんわ!』
その言葉に、少し安堵した。
章ちゃんは深呼吸すると、頬をペチペチと叩いて、よし!と言った。
「私が叩いてあげよっか!」
『嫌や!#name1#のはあかんやつや!』
大丈夫。私、笑えてる。
章ちゃんも、笑ってるから。
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