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……………
ビッキーの呼びかけのおかげで、散らばっていたメンバーがメインルームに集合した。
いつものように真ん中のテーブルを囲み、適当な並びでソファーに腰かける。
「忙しいのに集まってもらって悪いな」
全員がいるかを確認した後、ジムは例の話を始めた。
「皆に集まってもらったのは他でもない。実は俺は今日、テレビ局に呼ばれたんだが…」
彼は持っていた白い袋からある物を取り出した。
一冊の薄い本。
「なんだこれ。タイトル未定?」
全員が興味津々にその冊子を覗き込むと、表紙に映画の宣伝のような文字とイラストが載っている。
どうやら見本のパンフレットのようだ。
「映画にでも行ってきたの?」
「半分当たってるかな、サラ。これ来年始まる映画のパンフレットだから」
「「来年?」」
ジム以外全員、まるでリハーサルしていたかのように声が揃った。
「なんで来年始まる映画のパンフレットをアンタが持ってるのよ?まだ今年始まったばっかりじゃない」
「だからそれを今から説明するって!ハリー監督っているだろ?あの有名な…」
「あ、私知ってるよ!『愛のかなた』とか『恋愛純情記』とかの監督してる人だよね!」
流行に敏感なビッキーは、話題となった全ての映画をチェックしていたらしい。
監督の名前を聞いて、すぐに映画のタイトルが口から出てきた。
きっと名前くらいなら誰でも聞いた事のある人物。
なんとなくだが全員にその監督の顔が浮かんだ。
「あぁ。その監督、来年にまた映画を発表したいそうで…俺は今日その事で局に呼ばれたんだ」
「どうしてそれでお前が呼ばれんだよ?」
「それがさ、その監督さんが俺達の事…なんかえらく気に入ってくれてるみたいで」
「「…………。」」
「まさか?」と言いたげな目で、全員の視線がジムへ向けられると…
彼は歯を見せて本日最高のどや顔を見せた。
「全員、映画デビュー決定だ!」
・
・
・
「えええぇ!!!!!?」
一瞬信じられなくて何も言葉が返ってこず、状況を判断出来たと同時にそれぞれから声が湧き上がる。
リッキー「え?待ってください!それって何ですか?俺達が映画に出るって事ですか!?」
「そうだ。しかも脇役じゃない、俺達が主役!メインの映画だ!」
サラ「私達素人よ!?そんな演技なんて出来るわけないじゃない!」
「話題作りの為に作るモンだからお遊び程度で考えてくれれば良いって。それに監督も演技なんてずっとやってればなんとなくわかってくるって言ってたぞ」
ナイジェル「いやいやいや…出来ねーよ。それでも。うん、出来ねぇ」
「出来る」
ボビー「ハイッ!主人公は僕で、ヒロインはビッキーちゃんでお願いしま…(殴)」
なんだその反応は。
思ったよりも仲間達の反応はシビアだ。
ほとんどの人間が首を横に振ったり、「無理だ、出来ない」と。
こんなチャンス滅多にないというのに勿体ない。
彼らの反応を見て、ジムはつまらなさそうに眉を下げた。
「皆、消極的だなぁ。せっかくあっちの方からお願いしてくれてるんだぞ?いいじゃないか!こんな経験滅多に出来ないんだし」
「ちなみに聞くけど…どんな感じの映画なんだ?」
「え?あんまり詳しくは聞いてないけど…ラブロマンス?」
ガタンッ!
ナイジェルの質問の答えを聞いた瞬間、テーブルを思い切り叩きながらひとりの女性が立ち上がった。
「…やる」
目が炎に包まれているビッキーだ。
その視線は迷いなく、一直線にリッキー君へと突き刺さる。
「え?…えぇ!?無理無理無理!俺、出来ないですって!」
「なぁに言ってるの!『ラブロマンス』よ!!
【ラブ】=愛
【ロマンス】=恋物語
よぉ☆
こんなチャンス見逃すわけにはいかないわぁ!」
「だからちょっと待って!無理だっ…ムゴッ!」
リッキーの返答を聞くわけなどなく、強引に顔に飛びかかる。
恋する乙女はここまでくると歯止めが利かない。
ボビー「何をぉ!ビッキーちゃんとラチュラチュするのはこの僕だぁ!」
若者ふたりと馬鹿一匹の壮絶なバトルが始まる中、そんな怪しい軍団には見向きもせずナイジェルがだるそうに口を開いた。
「なぁ…俺も参加しなきゃいけねーの?いいよもう、休憩中にやきそばパンとか買ってくる仕事で」
「今時、役者業界にそんな仕事はない。仕方ないだろ、もうOKしちゃったんだし!これもひとつの思い出だ!」
ジムは立ち上がり、暴れ回っている3人も含めて全員に言い放った。
「はい、静かに!それじゃ、詳しい説明は来週の金曜日だ。いいな?忘れず空けとけよ!」
こうして運動会に続いての大イベント。
6人初の映画主演が決まったのであった。
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