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「はい、オッケーイ!完璧だよ、僕のイメージともピッタリだ!それじゃ疲れたろう?ちょっと休もうか」


撮影は一旦休憩に入り、ハリー監督のその合図と同時にビッキーは隣にいたリッキーに抱きついた。

「キャァ!リッキー、完璧だって!私の演技良かった!?」

「は…はい。上手でしたよ」

「アアーッ!リッキーに上手って言われた!なんか貴方にタメで話してもらうなんて新鮮!これからは敬語使わなくていいよ!」

「あ…いえ…その…慣れちゃったんで。この話し方」

「んもう!そんな謙虚な所も大好きー!」


リッキーとの初の共演にテンションMAXのサリーの親友。

そこで暴れ回る前に、ジムが彼女の背中を引っ張った。


「はいはい、休憩時間だからなぁ。お前は叫びすぎて疲れたろうから、控え室に行ってちょっと寝ようかー」

「あああ!何すんのよ、ジョセフィーヌ!リチャード!助けてぇ!」

「…………。」


ぽかんとしているとビクトリア…もといビッキーは、あっという間に部屋の外へ連れて行かれてしまった。

ジムもいつも大変だなぁ。

まぁ、本人もなんだかんだ言いながら楽しそうだから良いのかな。

とりあえず俺も戻って少し休もう。


スタッフさんに貰ったペットボトルの水を飲みながら、向きを変えたリッキー。

しかしその瞳にある光景が映り、彼は足を止めた。


「お前結構演技上手いじゃねぇか」

「まぁね。ナイジェルも上手くてビックリしたわよ。射撃以外にも才能があったのね」

「うるせーな。俺は昔から才色兼備で有名なんだ。ま、今回はお前の恋人役だからな。演技なんていらねーから(笑)」

「才色兼備ねぇ…自分で言う時点でないわ」


壁に寄りかかり、親密な雰囲気で話をしているナイジェルとサラの姿。


「……ッ」


なんでだろう…。

なんかムシャクシャしてる、俺。

最近のサラはあの人に夢中で、俺なんて眼中にない。

本人達は何も思っていないのかもしれないが…
そんな気ばかりがして、ふたりの仲を引き裂きたいと自分の中に黒い感情が芽生えてしまう。


撮影が始まって結構日が経つが、俺と一緒に演技してる時とあの人と一緒に演技してる時の反応が時々違うのだ。

俺と演技してる時は完璧にこなしてしまう。

台詞ひとつ間違えない。


それなのにナイジェルと演技をしている時は、よく台詞が飛んでるし間違えるし…

演技とは思えない程顔が真っ赤になっている時もある。

他の人は気づいてないみたいだけど、彼女のそういう小さな仕草や反応が気になってしまう俺にはそれがすぐにわかってしまう。

そして何故そうなってしまうのか、全部予想がついてしまうから…一層悔しい。


リッキーは飲み終わったペットボトルをゴミ箱に捨て、自分の控え室へ歩き出した。


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