11
……………
「サリー!」
「……っ」
呼び捨て?
今までさん付けで呼ばれている事に慣れていた彼女は、思わず隣の席に座っているリチャードの方を向いてしまった。
「…さん。」
取って付けたようなその単語。
顔が真っ赤だ。よほど緊張したのだろう。
「……っ?」
「ははっ…でもいいや。やっと振り向いてくれた」
ぽかんと数回瞬きをしているサリー。
リチャードは自分を落ち着かせる為に大きく息を吐くと、体を真っ直ぐ彼女の方へ向けて真剣に話し出した。
「先日。チアガールサークルのビクトリアから貴方の事について話を聞きました」
「え?」
「話がしたいんです!今日の昼休み…中庭へ来て頂けませんか?」
勇気を振り絞って投げかけた誘い台詞。
また相手にされず、馬鹿な奴だと思われるかもしれない。
だけど、どうしても彼女と話がしたくて。
もっと知りたいんです。貴方の事が。
彼女は何も答えず、机に頬杖をつく。
心臓をバクバクさせながら返事を待つ彼に返ってきた答えは…
「…別に」
「はい?」
「………。」
「あ、いや…その『別に』は『行く』の別にですか?それとも『行かない』の別にですか?」
「昼休み、中庭に行けば文句ないんでしょ」
それって…
「それは『行く』の別にと捉えて良いんですか?」
「行かなくてもいいの?」
「いや、違います!来てください、お願いです!」
「………。」
じっと彼の顔を見つめる。
「あの…僕の顔、何か付いてますか?」
「別に」
サリーは視線を逸らして再び外の景色を眺めだす。
とりあえず話す事を許してもらえたようだ。
一気に緊張感がどこかへ吹っ飛ぶ。
良かった。
あとは…彼女と上手く話が出来るか。
これを機会に少しでも距離が近づくと良いな。
- 157 -
*PREV NEXT#
ページ: