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……………
「はい、カット!OKでーす」
「………。」
カメラが止まりこのシーンの撮影が終わったサラだが、しゃがみ込んだ状態から動く事が出来ず、未だに頬から涙が落ちている。
正気をなくしたように下を向いて動かない。
「サラ…?」
「…ッ」
優しい声。
そんな彼女の小さな背中を叩いたのは、先程までリチャードを演じていたリッキーだった。
「もう終わりましたよ」
彼は優しく自分のハンカチを差し出す。
「あ…ありがと」
リッキーからそれを受け取り、涙をそっと拭う。
「役に入りすぎましたか?本当に泣いてるみたいですね」
「ごめん。本当…なんなんだろうね、今日の私」
口をハンカチで抑えて少し体が震えているようだ。
感情移入しすぎたのか、こちらを向いてくれない。
素で泣いてしまっているのか。
「サラ…」
「ははっ。疲れてるのかな…私。ごめんね、リッキー。ちょっと部屋に戻って休む」
「大丈夫ですか?無理しないでくださいね」
「わかってる。ありがとう」
立ち上がり、早歩きで控え室に戻っていく彼女の姿を見送った後、彼はナイジェルの方へと視線を向けた。
監督と演技の打ち合わせをしている。
彼もまた、どことなく寂しげな表情で。
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