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……………

「カット!OKOK!」

監督のサインに緊張が解れ、大きく息を吐いた出演者のナイジェルとリッキー。

特にナイジェルは体を前に倒してベッドに寄りかかる気の抜けようだ。


「ったく…なんだよこの空気…。苦手なんだよ、こーいうの…」


ブツブツひとりで文句を言っていると、監督を含め仲間全員が彼らの周りに集まってきた。

監督は丸めた台本をポンっと手の平で叩く。


「それじゃ、次のシーンで遂にラストだよ!」

「次で最後ですか!」

「あぁ!最後は感動的なシーンだからね!リッキー君、サラちゃん!ちゃんと台本読んどいてよー!」


最後はリッキーが私に告白して終わりってな感じのありきたりなシーンか。

結局、ナイジェルは今のシーンで最後だったんだな。


「………。」


色々考えちゃいけない。

この映画の締めのシーンなんだ。

私は一応ヒロインなんだからビシッと決めないと。

客観的に見ると、最初の頃に比べて私も大分成長したのかも。

演技をする人間として、自信も少しはついた。

「自信がない」を連発していたあの頃よりずっと。

とりあえず、もう一回台詞を確認しておこうかな。

周りがざわつく中、サラはひとり台本を握って控え室に足を運んだ。


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