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ガシャァァンッ!
「うわっ!」
ジムが物置の戸を開けると、詰め込まれていた荷物が雪崩のように押し寄せて来て、一瞬にして彼の姿は見えなくなってしまった。
ある晴れた日曜日。
今日は天気もいいし、特にこれといった予定もない。
仲間達は皆自然と自室ではなくメインルームに集まり、いつものようにのんびりと過ごしていた。
…なんだか、気分が良いな。
こういう日は何故かいつもやりたくない事をやってしまいたくなる。
ジムはおもむろに普段はあまり入らない物置倉庫へ入り、
「ちょっと掃除でもしようかな」
と、軽い気持ちで戸を開けた。
…で、爽やかな日曜日が一気に埃まみれ、塵まみれ。
現在の悲惨な状態に。
「何ですか!?凄い音しましたけど!」
「わ、ケホッ!ケホッ!埃だらけじゃない!」
その騒音にメンバー全員が集まってきた。
物に押し潰されたジムは必死に手で邪魔な物を払いながら頭を出す。
「ゲホッゲホッ!あぁ、ビックリした」
「何してたんだい?」
「いや、ここの整理一時やってなかったからさ。掃除しようとしたんだけど…ゲホッ!
開けた瞬間このザマだよ。確かここを最後に使ったのは…ビッキー!お前だろ?」
「そうだっけ?テヘ☆」
「『テヘ☆』じゃねんだよ!ったく…」
頭の埃を落としながら辺りを見回してみると、
昔読んでいた本、パーティーに出席した時の記念品。
もう終わった仕事の資料に、売れ残ったボビー人形。
色々な物が散乱している。
「それにしても、ここも荷物が増えたよな。いらない物は捨てなきゃな」
物を退かし、次は体の埃を払いながら立ち上がったジムだが…
「ん?」
彼の目に何かが留まった。
気になる物があったのか、近づいてそれを拾い上げると…
「これは…」
彼が持っているのは黄緑色の一冊のアルバム。
「あー!それ懐かしい!まだあったんだぁ!」
その本を見た瞬間、一斉にジムの周りに仲間達が集まり始めた。
そう。
これはウィンディランがまだ有名ではない時代からの写真を挟んでいる思い出のアルバム。
「本当、懐かしいな」
開いてみると懐かしい写真が多く挟まれており、それぞれの目がキラキラと輝く。
初めて旅行に行った時の写真。
全員でご飯を食べに行った時の写真。
レースが終わった後の何気ない一枚。
全ての思い出達が鮮明に蘇ってきた。
懐かしい写真を眺めて余韻に浸っている中、ビッキーの目に留まったのは見た事のない一枚の写真。
「ここどこ?」
その写真にはまだ幼さの残るジムと髭の生えていないナイジェルのふたりが写っており、背景は見知らぬ小さな建物だ。
「お。懐かしいな、ここ」
あの無気力なナイジェルが珍しく食いついて見ている。
余程思い出の場所なのだろうか。
そこで理由がわからずぽかんとしているビッキーにジムが話を始めた。
「お前は知らないだろうな。ここ、初代のウィンディラン本部。今の建物の前に俺達が住んでた所だ」
「「嘘!?」」
思わず口を開いたのは、ビッキーだけではない。
「へぇ…ここが」
「なんだかこじんまりしていますね」
サラとリッキーも不思議な顔でその写真を覗き込んだ。
「本当に最初の時期は、俺とナイジェルのふたりだけだったんだ」
「ジム君は少し未熟な雰囲気だね」
「ナイジェルは髭がなくて若いー!これいくつの時なの?」
「えっと…確か8年前だから、俺が20歳でナイジェルが25の時だな」
「ナイジェルにも20代があったんですか」
「当たり前だ。生まれた時からこんなオッサンだったら親泣くだろ。俺だって超爽やかイケメン時代があったんだよ」
「嘘つけ。お前この頃から雰囲気変わってないぞ」
うるせー、とジムの頭を軽く叩くナイジェルに笑う彼。
なんだか話を聞いているとビッキーは楽しくなってきたらしい。
「ねぇ!私このチームに入るの遅かったからさ、色々と過去話を聞かせてよ!」
「あ!それ俺も聞きたいです!」
「そうだな。10代は知らない事ばっかりだもんな。よし、じゃあここが出来てから今までの思い出話でもしてやろうか」
こうしてメンバーの過去回想シーンが始まったのであった。
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