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遡る事8年前。

まだ成人になりたてだったジム・リバースは、現在の社長に連れられてその場所へとやってきた。

小さな建物だ。


「ここが君の新しい職場です」


こざっぱりしたリビング。

小部屋がふたつ程しかなく、陽当たりもあまり良くない。

外の音も聞こえない。

入ったばかりで言える分際ではないが…なんというか物足りない建物だ。


「設備は万全で十分な広さがある!…というわけではないのですが、レース場の設備はある程度整っているつもりですので」


スーツの埃を払ってヘラヘラと誤魔化しながら、社長はまだ若いジムにそう説明をした。

なんとなく寂しいなと感じながらも、文句を言うわけにもいかない。

なにしろこの企業はこの人が今回初めて設立して、俺はその社員第1号。

初めはどこでもこんな感じなんだろう。


「…あ、それでもうひとり俺と一緒に雇われた人がいるって聞いたんですが、その人はまだ来ていないんですか?」


ジムの言葉に社長は足を止めた。

「え?あぁ…まだ連絡が取れていないんです」

「まだ連絡取れないんですか!?俺と同じ時間に呼ばれてるんですよね?もう一時間も過ぎているし、事故にでも遭ってるんじゃ…」

「多分…それはないかな」

「え?」


心配した表情のジムだが、社長はあまり気にしていないような台詞を天井を見ながら呟いた。


「どうしてですか?」

「その彼、面倒臭がりというか…とてもマイペースな人なんだ。前に面接した時も途中で眠くなっちゃったのか、考えるフリして何度か寝てたからね」

「ね…寝てた!?社長と面接してるのにですか!?」

「あぁ。僕もビックリしましたよ。話の途中で目を閉じて動かなくなったから、肩を何度か叩いてみたら糸目キャラだからと目を開けて言ってました」


大丈夫なのだろうか、俺と一緒に仕事をする人。

むしろそんな人を採用したこの社長もどうなのだろうか。

心配になったが、ニコニコしている彼に何も言い返せない。


「まぁ、心配しなくても大丈夫だと思いますよ。そのうち、あくびでもしながら…」


ガチャン


「ふぁぁぁ…」


扉をノックもせずに入ってきたのは、予想通り大きなあくびをしながら無造作に頭を掻いている男性。

高身長で真っ黒い髪が印象的、外見は結構ハンサムな分類に入っていると思う20代くらいの人だ。


この人が新しく仲間になる人か?

始まる前から疲れてるのか。

本当にだるそうな人だけど…


「…あ?誰だ、お前」

こっちまで歩いてきて、ようやくジムの存在に気がついたその男性。

「は…初めまして!貴方と一緒にここのバイクスタントマンに選出されたジム・リバースです。よろしくお願いします!」


とりあえず新人らしく、丁寧にお辞儀をするジム。


「へぇ…。そうか…」

「はい!」

「…………。」

「…え?あの…貴方のお名前は?」

「…あぁ、そっか。ナイジェル・ヨーク。よろしく」

「あ…はい、よろしくお願いします…」


彼のあまりの口数の少なさに、言葉が出てこないが…とりあえず怒ってはいなさそう。

先程の社長の話のようにマイペースな性格みたいだ。本当に元々こういう人らしい。


「ま、今はメンバーふたりしかいませんが、これから頑張っていきましょう♪」

社長は緊張感のない微笑みを見せながら、期待する彼らの肩を叩いた。


*****

サラ「ナイジェル。貴方、本当に初めからこんな感じだったのね…」

ビッキー「顔は若いけど、性格は全然変わってない!」

ナイジェル「覚えてねーな、こんな昔の事」

ボビー「ジム君はなんだか初々しくて新人って感じだね。可愛いよ」

ジム「お前に可愛いとか言われても気持ち悪いんだけど。でも俺にも希望に満ち溢れた新人時代があったんだぞ」

リッキー「お互い第一印象はどうだったんですか?」

ジム「ちょっと頼りなさそうな人かな…なんて。まぁ、でも悪い人じゃなさそうって感じ」

ナイジェル「ジムの第一印象?…ガキだな、ガキ」

ジム「オイ(怒)」


ナイジェル「確か次に入ったのがボビーだったよな?早くそっちの回想シーン観ようぜ」

ボビー「お!次は僕の登場シーンかい!?液晶画面でスタンバイしている皆!長らくお待たせしたね!華麗なる僕の登場シーンを篤とご覧あれ!!」

ジム「上手く流すな、お前ら!」


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