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「今日、街を歩いていたら女の子達からこちらをチラチラ見られてしまったよ!全くイケメンというものは存在そのものが罪なんだね」
「ボビー。お前が見られてたのは、多分別の理由だと思う」
時が経ちジムは24歳、ボビーは21歳、そしてナイジェルは29歳になっていた。
今日も聞かされるボビーの輝かしい自慢話をジムが綺麗に否定するやりとりは、もう「いつもの会話」としてこの場に定着している。
「なんだい、君!その興味なさそうな反応は!人と話す時は、まずは僕の赤く大きな瞳を見て目と目が合いそしてふたりは…」
「お前の目は見てるだけで呪いにかかりそうだから遠慮しとく。
それにしても、ウチのチームにはどうにも華がないよな。やっぱり女性のひとりでもいた方がテンションが上がるっていうのに…ナイジェルもそう思わないか?」
「別に男がいよーが女がいよーが俺には関係ねぇ」
「相変わらず貪欲だなぁ。別に隠さなくてもいいんだぞ!」
笑っておちょくってくるジムを気にする事なく、ナイジェルは大きなあくびをした。
いつもの平穏な光景。
そんな時間を突然緊張の空間へと変えたのが彼女だった。
「さてと。もう夜も遅いし部屋に戻るか?」
「そうだね!寝不足は美容の対て…」
ガチャンッ!!
「んっ?」
突然どこからか大きな物音がした。
「なんだ?」
「さぁ。玄関から音がしなかったかい?」
「なんだろう。ちょっと俺、外を見てくるよ」
特に不安な様子もなく、ジムは音の聞こえた玄関へ歩き出した。
「何方ですか?」
とりあえず扉を開く前に声に出して訊いてみるが…
「…………。」
返事は返ってこない。
犬か猫なのか?
ジムは恐る恐るドアノブを握り、ゆっくりと扉を開け…
あれ?なんか扉が重い。
「…ッ!!?」
その瞬間、外の状況に驚いて目を大きく見開いた。
ひとりの金髪の女性が扉にもたれるようにグッタリと倒れていたのだ。
「…だ、大丈夫ですか!?皆、大変だ!女の人が倒れてるぞ!」
「なんだって!?」
・
・
・
「スー…スー…」
ソファーでぐっすりと眠っている謎の女性。
身元もわからずおまけに声をかけても全然起きない為、仕方なくジムが抱えて部屋の中に入れてあげたのだ。
はだけた服。
頬の紅色。
そして微かに香るのは…
酒の匂い。
「全くビックリしましたよ。入り口で女性が倒れてるって聞いたから、慌てて駆けつけてしまいました」
「すみません、社長にも迷惑かけちゃったみたいで。どうやらこの人寝てるだけみたいですね。
なんだか顔も真っ赤だし、お酒の香りもするし…酔っ払ってここで寝てしまった人かと思います」
社長に説明するジムの隣で、ボビーが物珍しそうに彼女の寝顔を覗き込んでいる。
そこで別のソファーからその光景を眺めていたナイジェルは、かったるそうに立ち上がった。
「ったく、酔っ払って人ん家の玄関で寝るなんて迷惑な女だな」
「まぁ、そう怒んなって。若い頃は誰だって酒でやらかす事くらいあるだろ?」
「…そーだな。お前も先週飲み会から帰って来ねぇと思ったら、酔っ払って川にプカプカ浮いてた所を警察に通報されてたもんな」
「本当かい!?ほとんど死体じゃないか!」
「その話は忘れろって言っただろ!恥」
ナイジェルはジムをからかって笑い、そのまま自室に戻り始めた。
「ちょ、彼女見ててやらないのか?」
「ほっとけ。どーせ起きたら勝手におうちに帰んだろ」
引き止めの言葉も聞かず、ナイジェルは眠っている彼女の顔もまともに見ないままさっさと歩いてメインルームを出てしまった。
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