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……………
「美味いいいッ!!」
晩飯時の午後8時。
メインルームから男の大声が聞こえた。
サラの作ったパスタ料理を食べたジムが思わず叫んだのだ。
「うん。まずまずかな。ま、僕の作るUFOには敵わないけど」
「いや、敵うだろ!敵いすぎてるから!でも、さすがに女の人は料理が上手だな!
助かったよ、危うく今夜も口の中がUFO三昧になる所だったから」
「そこまで喜んでもらえるなんて。ある材料でしか作れなかったんだけど」
「あんな何も知らない男がかき集めた適当な食材で作ったんだろ?凄いよ!」
「さっきからうるせーな…」
ジムとボビーがテーブルを囲んではしゃいでいる中、ようやくターゲットのナイジェルがキッチンに姿を現した。
「あ!ナイジェル、今日の晩飯は豪華だぞ!サラがパスタを作ってくれたんだ!超美味いから食えって!」
「いつもショボい飯しか食ってねーから、余計そう感じんだろ」
ナイジェルはだるそうにボビーの隣の空き席に座った。
それを確認し、彼女はパスタを皿に盛り付け始める。
「なぁ、ナイジェル!サラを仲間に入れたら、いつでもこんな美味い料理が食べられるんだぞ!そろそろ観念してもいいんじゃないのか?」
「それとこれとは話が別だ」
「だからぁ…」
カチャン
ジムが調子に乗って喋ろうとした瞬間、ナイジェルの前に噂の料理が並べられた。
美味しそうなクリームパスタと野菜スープだ。
「一旦私の事は忘れていいから。さ、ナイジェル。冷めないうちに食べて」
「…………。」
怪しいその顔をチラッと見た後、ナイジェルは用意されたフォークを手に取った。
・
・
・
無言で彼女の作ってくれた料理を食べ続ける。
「美味い」も「不味い」も何も言わず黙々と。
あっという間に皿の中は空っぽになってしまった。
食べ終わったナイジェルの様子を見て目を細めるサラ。
最後のスープ一口を飲み込んで、小さく息を吐く。
「「………。」」
今か今かと、感想を待つ3人。
その重い視線に耐えかね、彼はようやく口を開いた。
「仲間には…入れてやる」
「ほ、本当か!?」
サラにも一瞬緊張が走ったが、女の手料理作戦はどうやら成功したらし…
「ただし、条件がある」
「え?」
思わぬ言葉に全員が固まる。
どうやら彼らの仲間になる為には、何らかの条件を満たさなければならないらしい。
バイクの試験に合格しなきゃ入れてもらえないとか?
それともまさかお金を取るつもりじゃ…
サラはごくりと自分の唾を飲み込んだ。
そんな彼女の顔を見てスプーンとフォークを皿の上に置いたナイジェルは、一同が耳を疑うとんでもない条件を口にした。
「俺の嫁に来い」
サラ「………
は?」
なんとも間抜けな返事。
もちろんその顔をしたのはサラだけじゃない。
ジム「な…なんで?」
「俺が嫁に来て欲しいと思ったからに決まってんだろ」
「待って待って待って。話がいきなりすぎる、付いていけない。いくわけないでしょ、嫁なんて」
「嫌ならこの話はなしだ。いいのか?」
「良くないわよ!無理やり家を飛び出してきたのに、もう実家に戻れるわけないでしょ!」
「じゃ、ナイジェル君と結婚するんだね!」
「それもしない!なんで会って初日の人といきなり結婚しなきゃいけないの!?」
「いーから女は黙って男に付いてこい。後悔させねぇから」
「絶対嫌!!」
*****
ジム「ナイジェルがサラに惚れた理由は、コイツの手料理が美味かったからだよ。ま、作戦の効果が効きすぎたって事だ」
リッキー「へぇ。やっぱり女性の手料理は最強なんですね。確かにサラ、料理だけは上手ですもんね」
サラ「『だけは』って何よ」
ナイジェル「サラ、俺の嫁に来たかったらいつでも来ていいからな。婚姻届はもう出来てっから。あとはお前が判を押すだけだから」
ボビー「気持ち悪いね(^^)」
ジム「そして最後に入ったのはビッキーとリッキーのふたりだったな。確かほとんど同時期に入ってきたが、ビッキーの方が少し早かったよな?」
サラ「あの時は本当どうなるかと思ったわよね」
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