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サラが仲間に加わってから2年が経っていた。
ジムが26歳、ボビーは23歳、ナイジェルが31歳、そしてサラが20歳。
「皆さん!良いお知らせがあります♪」
「…?」
久しぶりに社長が本部へやってきたかと思えば、突然メインルームに全員を集めてそう言い放ったのが最初。
「なんですか?良いお知らせって」
「貴方達に新しい仲間がもうひとり増える事になりました!可愛い可愛い女子高生ですよ」
「マジでかぁぁぁ☆★☆★☆★☆★」
彼の報告にテンション高く立ち上がったのは、ウハウハ笑顔のキモいボビーだ。
どうやら「女子高生」に反応したらしい。
「女子高生?社長…なんでそんな若い子を」
「新しい力をドンドン取り入れていく!これ僕のポリシーですから。
それにその子若いからってナメちゃダメですよ!
普段は授業を受けてる普通の17歳の女の子だけど、バイクに跨ると男顔負けの走りを見せるパワフルな女子ライダー!
実は僕の姉の娘さんでしてね。誘ってみたらOKしてくれたんです♪」
「コネか…」
「そんな事ないよー。ちゃんと色々話をしたし!姉さんと!」
「やっぱりコネじゃん」
ヘラヘラ笑って誤魔化そうとする社長にジムがポツリと呟いた。
「あ。あともうひとり目をつけてる子がいるんですけどね。その子はちょっと競争率激しくて…。奇跡的にウチに配属されたら連絡しますね」
「「はーい」」
全員が揃って返事をすると、社長は「次の仕事がある」と軽くお辞儀をして部屋を出た。
ボビー「女子高生かぁ!きっと清楚で若くて可愛くてプリプリで…ウサギちゃんみたいな子なんだろうなぁ!!!」
……………
「絶対嫌ぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!」
メインルームに甲高いキンキン声が響き渡り、全員が咄嗟に耳を塞いだ。
「ちょっ…なんなのよ、この子!」
「う…うるせぇッ…」
この鼓膜破壊系女子高生が、先日の社長からの紹介でやってきた「ビッキー・スティール」という娘。
毛先がオレンジ色になっている短い茶髪と、肌の面積が多い服装が印象的な可愛らしい女の子だが…
想像していたより遥かに我が儘でピーピー騒ぐギャル娘のようだ。
「ビッキー、君が本当にここの新しい仲間なのかい?」
「ふっざけないでよ!私をここにやったのは私の馬鹿親!来たくて来たんじゃないから!
もうちょっと若い男の人とかいるかなって思ってたらオッサンしかいないし…ウッワ!何あの宇宙人!キモッ!」
宇宙人「酷いよ、ビッキーちゃん…泣」
部屋の隅で泣き崩れるボビーの背中をナイジェルがさすってあげた。
「とにかく!私の青春、こんな所で終わらせるわけにはいかないの!帰る!」
「あっ…ちょっと!」
ビッキーが部屋を出ようとくるりと背中を見せた瞬間、彼女の行く手を塞ぐように社長が現れた。
「…ッ!…叔父さん、退いてよ!」
「ビッキーちゃん、君を無理やりここに連れてきて申し訳ないとは思ってるよ。でも、もう我が儘を言っちゃいけない。君だってもう立派な大人でしょ?」
「………。」
もどかしく目線を逸らす。
「ちっちゃい頃から叔父さんと一緒に仕事がしたいって言ってたじゃないか。
この人達だって凄く良い人達ばかりだし、僕だって付いてる。一時ここにいて、それでも嫌だったら出て行けばいいじゃないか」
「………ッ」
叔父さんには正直迷惑はかけたくない。
私が小さい頃から可愛がってくれた優しい人だから。
一時黙り込んだ彼女は、4人の方向に体の向きを戻した。
「わかった。やる」
「ビッキーちゃん!やっと僕の仲間(ハニー)になってくれると…」
「勘違いしないで、ウザ白髪!私は叔父さんの為にここに入るの!アンタ達と仲良くする気なんて一切ないんだから!」
「ビッキー…」
非常にピリピリとした険悪なムード。
ビッキーはひとりずつ強く睨みつけた後、口を開いた。
「じゃ、部屋に入るから!叔父さん、私の部屋は?」
「え…あぁ。ここの廊下を真っ直ぐ行った2号室が君の部屋だよ」
「わかった、ありがとう」
彼女は持っていたキャリーの取っ手を握り締め、早歩きで新しい部屋に入った。
「はぁ…」
メンバー全員から出たのは大きなため息。
「皆さんには嫌な思いをさせちゃいましたね、申し訳ないです。
彼女ようやく出来たひとりっ子で、姉は思う存分甘やかして育ててしまったんです。
でも僕も小さい頃からビッキーちゃんを見てきたけど、本当は良い子なんですよ。わかってあげてください」
ジム「今時の女子高生は扱い方がよくわからないもんなぁ」
サラ「そうね。とりあえずゆっくりこの場に慣れさせていくしかないかも」
「迷惑はかけると思うけど、どうかよろしく頼みます。何かあったらすぐ僕に知らせてくださいね」
深々と丁寧にお辞儀をした社長は、再び次の仕事に向かう為メインルームを出た。
*****
サラ「そうそう!最初はこんな生意気な娘だったわね。今もあんまり変わってないけど」
ビッキー「ちょ…最後のはどういう意味!?」
ナイジェル「この時はマジで捻り潰してやろうかと思った」
リッキー「そんな…女の子ですよ女の子(苦笑)
でもビッキーが最初、ここまでここを嫌がっていたなんて知りませんでした」
ボビー「僕に惚れて踏み留まってくれたんだよね!」
ジム「違う違う。この後もコイツにはかなり苦労させられたんだよなぁ」
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