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何よ…
何よ、何よ、何よ!
ビッキーはバイクを乗り捨て、ひとり黙って人通りのない河原を歩いていた。
天候は最悪。
強い雨粒が彼女の体を攻撃し、雷の光と音が恐怖心を誘う。
私だって…もう皆の仲間になっても良いかなって…
思い始めたばっかりなのに。
あぁやってお節介して同情して…
私の事、可哀想な子だって思ってるんでしょ!
でも一番ムカつくのは
それを素直に受け入れられない自分自身。
仲間に入るタイミングがわからない。
どうして私って
思った事を上手く口に出来ないんだろう。
悔しくてもどかしくて歯を食いしばるビッキー。
もう…ひとりは嫌なはずのに…
なんで…どうして…
「………ッ!」
・
・
・
あれ、冷たくない…?
自分の体に打ちつけていた雨粒が、突然ピタリと止まった。
雨が…あがった?
いや、目の前はまだ酷い雨が降り続けている。
じゃぁ…どうして?
「風邪引きますよ」
「えっ?」
背後にいた、見た事のない若い男性。
振り返ったと同時に、綺麗な緑色の瞳が真っ先に目に映る。
自分はその人のさしている傘の中に入っていて、雨に打たれずに済んでいたのだ。
「ビッキー・スティールさん…ですよね?」
「ッ…!」
訊いてきた彼に数秒間返事も出来ずに固まる。
顔も全然知らないのに…
「どうして私の名前?」
「詳しい話は後から。早くお家に戻りましょう。あそこに車があるので乗ってください」
誘拐?ナンパ?
いやでも、そんな感じの人には見えない。
周りはこんなに豪雨なのに、彼の笑顔は淡い光のように優しくて。
何より私の名前を知ってる?
とても悪い事をするような人には見えなかった。
(それに…凄く格好良いし。彼になら誘拐されても良いかな)
ビッキーは男性に言われるまま、停まっている車に乗り込んだ。
びしょびしょのビッキーが座った助手席シートは案の定、すぐに水浸しになってしまった。
「ごめんなさい!濡らしちゃって…」
「構いませんよ。それより寒いでしょう。はい、これ小さいですがハンドタオルです。すぐに暖房も入れますから」
「………///」
(横顔綺麗だな。王子様みたい。それに凄く優しい…)
慣れた手つきでエンジンをかけ始める彼の横顔を見て、ビッキーはポーッと頬を赤く染めた。
彼のつけてくれた暖房のおかげで徐々に体も温まってくる。
運転も凄く丁寧。
たまにこちらをチラッと見て気にかけてくれ、優しく声をかけてくれる。
名前も知らない男性に見惚れていると、あっという間に見慣れた光景が窓に映った。
私が飛び出したウィンディランの事務所だ。
「え…なんで…」
私、道説明してないよね?
どうして私の来た場所がここだってわかったの?
「何故でしょうね」なんて当の彼は知らん顔して笑っている。
屋根のある駐車場に入ると、窓を強く打ちつけていた雨はなくなりワイパーが止まる。
スムーズに車を止め、彼はビッキーのシートベルトを外してあげた。
「あ…ありがとう////」
「いえ。立てそうですか?」
「……ッ////」
顔を真っ赤にしてブンブンと首を縦に振る彼女。
その必要以上に緊張している表情を見ると、彼も思わず笑ってしまった。
「ハハッ。じゃ、急ぎましょう。皆さん待ってますよ」
「え!?中まで来てくれるの?」
「ダメですか?」
「ダ、ダメじゃないけど…そんなに迷惑かけるわけには!」
そこで彼はまたニコリと笑い、謎の言葉を口にした。
「いいんです、俺も挨拶がしたいので。行きましょう」
「えっ…ちょっと!」
挨拶?
何がどういう事!?
この人、本当に一体誰なの!?
頭の中が混乱する中、ビッキーは濡れた姿のまま慌てて彼の背中を追いかけ始めた。
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