……………

「なんだ、あの態度!あれが応援してくれてるファンに対して取る態度かぁ!」


帰りのワゴンの中は、もちろん美空の悪口で持ち切り。

中列席に座っているジムとボビー、そして後列席に座っているビッキーは荒々しく怒りをむき出しにしている。

「そうよそうよ!テレビとゼンッゼン違う!きっと、ちょっと売れてるからって天狗になってんのよ!」

「全くだ!僕の親友を受け入れない時点で、アイツは頭がどうかしている!」

「親友が無理なのは当たり前だが…あれはミュージシャンとして失格だろ!」


叫ぶ声が密室の車の中を跳ね返り、色んな声がごちゃ混ぜに。

他メンバーの印象は良かったのだが、美空のせいで気分は最悪だ。


「仕方ないでしょ。昔からあの子はあーいう性格なのよ」

助手席に座っているサラはため息をつき、後ろでドアやシートを叩いている男女に「ちゃんと忠告したでしょ」と伝える。


「でもなんなのよ!初対面の人に向かってあの口の利き方は!」

「まぁ落ち着いてください、ビッキー。多分、彼にも色々と事情があるんですよ」

「んもう!リッキーはなんて心が広いの!やっぱり私は貴方が一番好き☆抱」





それから美空の嫌みを何時間も口にしていた後ろの連中は喋り疲れてしまったのか、本部に着く頃にはバラバラに散らばって眠ってしまっていた。


「ふふ。寝てるわよ、子どもみたい」

「そーだな」

2時間の運転を終えたナイジェルは、だるそうにシートベルトを外す。

「ナイジェルも悪かったわね。遠くまで運転してもらったのに、嫌な思いまでさせちゃって」

「若い頃は誰にだって反抗期くらいあんだろ。気にすんな」

「そうね」


何か深刻な表情で考え事をしているサラ。

そんな彼女の顔を横目で見た後、彼は小さく息を吐いた。


「ま、時間が経てばコイツらだってすぐ忘れるさ。お前が罪悪感を抱く事はねーよ」

「……。」


さりげなく慰めてくれたナイジェル。

彼の言葉には何も答えず、とりあえず小さく頭を一度下げた。


「さて、じゃぁこの話は終わり。そろそろ後ろの連中を起こすぞ。早く部屋に入って寝たい」


そうだ。

皆、七音と関わる事はこれから先の人生ほとんどないんだし…

私が深く考える事はないんだな。



「オイ、起きろテメーら!その辺の草むらに放り出されてーのか?」

「んむむ…ビッキーちゅあんっ…ムニャムニャ…頂きまぁ……ふぐんっ!(草むら)」

「むにゃ…ムニャムニャ…サラぁ……頂き…バシャァンッ!!(川)」


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