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……………

運命のコンサート当日。

今日の日を予測していたかのように、空は清々しい晴天に恵まれた。

会場の中は本日のライブに向けて、スタッフの人々がせっせと右へ左へ足を走らせていた。


楽屋でもマネージャー6人が集合時間前から、資料を読んで本日のライブの流れを確認している。


「そんで、この曲のサビでライトが当たると…」

「あれ?じゃ、この時は…」


「おっはー★」

ドアが開く音が聞こえ、全員が話をやめて振り返る。

やってきたのはいつもと変わらぬテンションの美空七音だ。


「珍しいな、まだ集合時間前だぞ。時計壊れたのか?」

「何言ってんの、ジムさんー。僕はいつでも大真面目じゃん」

「大真面目な奴は『おっはー★』なんて言わない」


ジムの言葉にヘラヘラと笑う彼。

今まで遅刻…しかも10分20分程度じゃ済まされないような大遅刻の常連だった美空が、集合時間前に来るなんて今までなら絶対にありえなかった。

平然を装っているが、内心緊張しているのだろうか。

とりあえずマネージャー全員は何も触れずにいると事前に決めていた為、両親の話題は出さない。


「あれ、ナオ君もう来たんだぁ。ついに時計読めなくなっちゃったのぉ?」


次に部屋に入ってきたのは、携帯電話を握った雪之原だ。

「ユキまで僕を馬鹿にしてんの?僕だって早く来ようと思えば来れんの!」


鞄を適当にテーブルに投げて、美空はリハーサル会場へ自ら歩き出す。

その背中を見つめると、なんだか普段と違う空気を感じた。


「休憩もしないでリハーサルに行くなんて、やっぱり色々考えてるんでしょうね」

「僕もそぉだと思う。皆も今日一日が今までの中で一番大変になると思うけどよろしくねぇ」


ほんわかした雪之原の言葉にコクンと頷いた6人。


「じゃ、僕もリハーサルに行ってこようかなー。リッキー君、一緒行こぉ」

「あ、うん!」


続けて部屋を出たのは、同じような雰囲気を持つ男性ふたり。

リッキーと雪之原は年齢も近い上、動物(猫と兎)好き同士という事から、すっかり仲良しになっていた。


「うーん!やっぱりあのふたり、女装させたら絶対可愛いよね!」

「なんで男にわざわざ女装させなきゃいけないのよ」

「だってふたりとも可愛い系じゃーん!」


「そんな事はいいから俺達も準備に行くぞ!」

「「はーい」」

ビッキーのよくわからない萌えをジムが取り押さえて、彼らも本日のライブを成功させる為に準備に向かった。


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