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……………

一曲また一曲と歌い終わる度に、時間も刻々とラストへ迫っていた。

しかし美空の両親が座るはずの席は、未だに大量の人が並んでいる中でぽっかりと穴が空いている。


【間に合わないかもしれない】


そのメールの文字が頭の中に蘇る度、考える力を歌う力に転換してなんとか冷静さを保とうとする。


クラウディのドラムが綺麗に音を締め、また一曲、歌が終わった。

出入り口の扉が開く時は、大抵トイレに立つ観客が出入りする時ばかり。


「七音君のお父さんとお母さんが来るの…あの席だよね?」

「まだ来てないのか。あと20分で終わりだぞ」


腕時計を見たナイジェルの顔が険しくなっている。



ブーッ!

ブーッ!


「…?」


そこで突然、どこからか何かの震える振動が伝わった。


「携帯のバイブ音…?」

一定感覚で鳴り続けるバイブ。


「まさか…七音の携帯か!?」


ジムが七音の鞄を退けると、その下敷きになっていた白色の携帯が発見され…

案の定、激しくバイブを鳴らしている。


「電話だ!どうする?」

「でも、勝手に出るわけには…」


これにはさすがに躊躇するビッキー。

その間にも携帯は「早く出てくれ」と言わんばかりに激しく震え続け…



「貸して」

「え…でも」

「いいから!」


サラが無理やりジムから携帯電話を取り上げた。

仲間が止めようとするのも構わず、通話ボタンを押し…


「もしもし。美空七音の携帯です」


『………ッ…』


迷いなく電話に出たサラ。

一方の相手は七音ではない女性の声に、一瞬戸惑っている様子だったが…



『サ…サラちゃん?』


七音の母親の声。

彼女には最初の一声でサラの声だとわかったらしい。

コンサートや音楽家のパーティー等でお世話になった大企業の娘さん。

今は家を出て、独立した生活を送っていると聞いていたが…


『どうして七音の携帯に貴方が?』

「すみません。話すと長くなるのですが…今、私は七音のコンサート会場にいます」


電話越しの声が聞こえなくなる。

きっと口をぽかんと開けたまま、言葉を出せずにいるのだろう。


『あのっ…七音と代わってもらえる!?今すぐに話したい事があるの!』

「ごめんなさい。今、彼はステージに出ていて電話には出られません。用件なら私が聞きます」

『でも…』


「私は今おふたりが置かれている状況もわかっています!七音が力になれない代わりに、私達が力になってあげられます。安心してください」

『っ…』


状況がよく掴めないが…


『実は…』


どうこう迷っている暇はないの。

誰でも良い。今すぐ、助けて欲しいから。







「え…?」


話を聞いたサラは思わず携帯を落としてしまいそうになり、咄嗟に両手で握った。


「どうしたんだい!?」

電話中にもかかわらずボビーが訊くと、彼女はそっとそれから耳を離した。



「七音のお父さん…突然いなくなったって」


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