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その後、観客席から他のweather lifeメンバーもステージに戻ってきて、ライブは大興奮のまま幕を閉じた。












「七音!お疲れ!酷い顔だな、目も鼻も真っ赤じゃないか!」

「う…うるさい!」


ライブ終了後のステージ裏側。

肩を叩いてからかってきたジムの手を、恥ずかしそうに払い退ける美空。


「こら、七音。手助けしてくださった方に乱暴をしちゃいけないでしょ!」

「痛っ」

ポコッと叩いた後、母親は丁寧に頭を下げた。


「マネージャーを務めてくださった6名の皆さん、七音のお友達の皆…本当にこの度はありがとうございました。なんとお礼を言っていいか…」


いやぁ、と一番前にいたジムが照れながら頭を掻く。


「ご存知の通り、ウチの子はこのような性格で皆さんにも大変ご迷惑をかけたと思いますが」

「あのねぇ」

「いいから」


息子が口を挟もうとするが母親は隙を与えない。


「でも、今回の件で息子も少しは成長出来たと思います。皆さんのおかげです。どうもありがとうございました。

今、旦那がこのような状態で…こちらに来るかとても悩んでいたのですが。思い切ってここまで来て本当に良かったです」


美空の母親は涙を堪え切れなくなったのか、ハンカチで目頭を軽く抑え始めた。


「もう…いいよ!ちょっとあっち行ってて」

「はいはい、わかりましたよ。お父さん?行きますよ」


顔を赤くした美空が母親の背中を押し

母親が同じように父親の背中を支えて、一旦その場から去った。


「なんだ?照れてるのか?」

「違うし!…ったく、なんで高校生になってまで親に説教されなきゃいけないのさ」


やはりあの美空七音も人の子だ。

雨宮の言葉を否定しても、次は雪之原が「あ、可愛い〜」なんて再びちょっかいを出してくる。

「違っ…もういいよ」

小さくため息をついた美空は再び6人の顔を見た。


「今回は助かったよ。まぁ…また僕のマネージャーをやりたくなったらいつでも言っていいよ。話つけといてあげる」

「ったく…結局最後まで憎たらしいな」


軽く笑うナイジェルに、美空も声を出して笑った。




「…ありがとう。
色々心配かけたけど、これからは親父もお袋も大事にするよ。もう…絶対逃げないから」


「七音…」


最初の無礼者の彼とは全く想像つかない言葉。

台詞も顔つきも…まるで別人のよう。




「 短い間だったけど、

マネージャーの仕事を皆にお願いして

本当に良かった 」




立派な

ミュージシャンの顔だ。


6人はコクリと頷き、

預かっていたマネージャーのマニュアルを

全て美空に返した。


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