……………

「ママ、なんだか安っぽいソファーだけど座ろうよ」

「あぁ…ナイジェルさんはどこへ行ったのかしら♪」


メインルームのソファーに座って何やら話している親子をキッチンからこっそり覗く6人。


「ねぇ!アイツ、ロビンじゃない!なんでここにいんの!?」


先程まで何も知らずにキッチンで料理をしていたビッキーがジムの背中を叩く。

そこでロビンが辺りを見回し、ジムと目が合うとこちらへ歩き始めた。


「そんな所で何をしているんだい?」

「いや…また悪い事を企んでるんじゃないかと思って」

「私達はもう君達に危害を加えるつもりはないさ☆それより喉が渇いた。何か出してくださいな♪」


相変わらず背景に薔薇の散らばるロビンを疑いの目で見たジムは、恐る恐るカウンターへ向かった。

コップに注いだのはインスタントコーヒーだ。


「ほら」

「なんだ…高級ダージリンティーじゃないのか」

「所持金ゼロの奴には言われたくないな!ったく…一々気に障る」

ブツブツ文句を言う彼を尻目に、安物のコーヒーを優雅に啜るロビンとママ。


「さて、ところで…本題に入っていなかったな。皆私の周りに集まりたまえ」

「うっせぇ、お前が来い」

未だに敵意を向けるナイジェルに、ロビンはキラリと歯を光らせた。



「大事な話だ。家族が増えるかもしれないのだよ☆」

「は!?何それ、アンタここに住むつもり?」


その言葉を聞いて、恐怖心を忘れて思わずサラを除いた全員が集まってくる。


「違う違う。新しい家が見つかるまでここに置いて欲しいという事だ」

「ふざけんな!それでも無理に決まってんだろ!」

「全く騒がしい一般人だなぁ。少しは気品を持ってくれ」

「テメェが来たから、気品が失せたんだ!」


耳を塞いでうるさいアピールをしたロビン。

全員の歯ぎしりが聞こえてきそうだ。

そこで再びジムが口を開く。


「大体、新居を探すにしてもどうやって探すんだ?お金1円も持ってないんだろ?」

「そんなの簡単さ☆ここにさっき拾ったプルタブがある」

自信に満ち溢れた表情の割に、彼がポケットから取り出したのはしょぼっちいどこにでもある空き缶のプルタブだ。


「はぁ…?」

ジムの反応は理解不能なのか、気が抜けた変な返事。


「これを道行く人に見せて『このプルタブと何かを交換して欲しい』と頼むんだ」

「………。」

「仮にこのプルタブが輪ゴムと交換してもらえたとする。そしてまた同じように『この輪ゴムと何かを交換して欲しい』と頼む」

「………。」

「それを何度も繰り返すんだ。
輪ゴムからヘアピン。
ヘアピンからネックレス。
ネックレスからスーツ。
スーツから絵画。
絵画から車。
車から家…

ほら、これで家が手に入るだろう。わかるかい?」

ジム「凄いぞ…奇跡だ。俺は今、お前の言っている事の1%もわからない」


その言葉をぼそりと言った後、ぽかんとしているロビンに対しジムは力強くテーブルを叩いた。


「出来るわけねーだろ、そんな非現実的な事!『絵を貰ったから僕の車をあげよう』いるかぁ、そんな奴!」

「知らないのかい?価値のよくわからない絵画に未知のロマンを感じ、ついついお金を出してしまうコレクターって結構多いんだよ」

「じゃぁ、価値のよくわからない絵画が手に入らなかったらどうするつもりだ!?」

「その時は私が描くよ」

「ダメだ、コイツ早くなんとかしないと」


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