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……………
【作戦A 嫌いな食べ物作戦】
「皆の者!飯の時間じゃ、集まれー!」
キッチンからボビーの気持ち悪い声が聞こえる。
どうやら特製のキノコ料理が完成したようだ。
声を聞きつけ、ぞろぞろとメンバーが集まりテーブルの椅子へ腰かけ始める。
「さぁ!食べたまえ!ボビー・マローン特製 贅沢キノコの甘辛ソテーだ!」
ボビーがUFO以外の料理を作るなんて初めての事だったので、全員が警戒しながら出てきた皿を覗き込む。
一本の大きなキノコに茶色のソースがかかった料理。
食べられなさそうな外見ではない。
ボビーが作った料理としては、見た目はほぼ100点だな。
恐る恐るフォークを刺し、口の中に入れてみる。
ジム「あれ?…意外と美味いな」
ナイジェル「普通に美味いぞ、これ。ジムが作る料理より」
思ったより好評価のボビー特製キノコの甘辛ソテー。
「当たり前だろう!イケメンが作る料理にマズい物など存在しない!」と、本人は鼻高々だ。
しかし、当のサラはまだ料理に手をつけていない。
やはり本当にキノコが苦手なのだろう。
フォークにブツが突き刺さったままだ。
「サラ、食べないんですか?」
「…え?」
隣に座っていたリッキーに話しかけられ、珍しく動揺した様子の彼女。
「うん。あんまりお腹空いてなくて…。リッキー、食べる?」
「え?ダメですよ、せっかくボビーが作ってくれたんですから」
周りの視線を窺いながら、両手を前に出して拒否をするリッキー。
ここでサラが食べなければ作戦は台無しなのだ。
さぁ…食え!
そして泣くんだ!
全員が不自然な程ガン見をするが、それに負けない位サラはキノコをガン見している。
「美味しいですよ。さ、食べてみてください♪」
リッキーお得意のイケメンスマイルで最後の一押し。
ゆっくりと口を開け、そっと口に入れる。
…食っ……!
「ごめん、やっぱり無理」
「「は!?」」
帽子の端っこをかじっただけで、早々にリタイアしてしまった彼女。
「いや…ボビーの料理がマズいってわけじゃないのよ。ただ私、キノコってどうしても食べられなくて」
5人の頭の中など知るはずもなく、サラは必死に料理を作ってくれたボビーのフォローをする。
「だから私はこっちのライスだけ頂くわね。これ、リッキーにあげる」
「えっ…」
そこで思わずジムが立ち上がった。
「いや!これ、マジで美味いよ!どんなにキノコ嫌いな人でも食べられるんじゃないかなぁ!」
「そ…そうだよ!好き嫌いをなくす良いチャンスだって!」
空気を読んだビッキーも続けて立ち上がる。
食え…!
お前が食わなきゃ全部パーなんだよ!
もうリッキー!無理やり口に押し込んじまえ!
「ちょっ…怖い怖い。フォークをこっちに向けないでよ」
え…どうしてジムもビッキーも俺を睨んでるの?
ふたりの視線に気がついたリッキーが目をパチクリさせる。
まさか、皿ごと顔にぶつけろって事?
無理無理無理。そんな事したら俺、殺されちゃ…
……ん?
ふとサラがこちらに向けているキノコに視線が行った。
フォークに突き刺さっているそのキノコには、彼女がかじった跡がついている。
…………ポッ…///
「ん?おい、どうしたリッキー。顔赤いぞ」
興味なさそうにモシャモシャとソテーを食べていたナイジェルが手を止めた。
リッキー「…………い…」
「「い?」」
「いただきますっ!!!」
テーブルにおでこが直撃する激しいお辞儀をしたリッキーは、フォークに刺さったキノコにガブリと噛みついた。
ジム「あああああああ!なんでお前が食ってんだよ!!」
リッキー「っ…たぇものだって…もぐ…美味しゅくたえて貰ったほーが…もぐもぐ…しゃぁわせに決まっていま……もぐもぐもぐもぐ…」
ナイジェル「お前…!もっともらしい事言って、サラと間接キスしたかっただけだろ!出せ!俺も食うから!」
ビッキー「ダメよ!それは私が食べるんだから!」
ボビー「じゃぁ、その次は僕が予約しておくよ!ビッキーちゃん、口移しで頼む!」
ジム「なんだ、この気持ち悪い大人達は!!」
「ヴッ!」
ふとリッキーの意識がなくなり、ガシャンと椅子ごと床に倒れ込んでしまった。
「リッキー!?どうしたの!?」
背中を震わせて驚いたサラは、慌てて白眼になって気絶した彼の肩を叩く。
「どうした!?喉にでも詰まらせたか!?」
「リッキー!大丈夫!?」
突然の出来事に、立つのも忘れて声を出したメンバー。
ボビー「あ、ごめん。もしかしたらそれ毒キノコだったかも」
ビッキー「嫌ぁぁぁ!なんて物出してんのよ馬鹿!このままじゃリッキーが死んじゃ…
ん…?なんか私が食べてるキノコ…変な匂いがする」
ボビー「あぁ、ビッキーちゃんには特別に僕の部屋に生えてたキノコを使ったのさ★」
ダァ――――ッと、何も言わずに洗面所へ走るビッキー。
ナイジェル「オイ…じゃぁ俺のは何だ?」
ボビー「ナイジェル君のは、僕の頭に生えてきたキノコだよ」
ダァ――――ッと、何も言わずにトイレへ走るナイジェル。
「………。」
ふと目が合うジムとボビー。
「それはね。僕のパンツに生えてきた…」
・
・
・
・
ジムは何も言わずに天井にロープを掛け、静かに首を吊り始めた。
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