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……………
「はぁ。嫌いな食べ物作戦も失敗ですね」
「まぁ失敗の原因は勝手にサラのキノコを食べたお前に…いや、そもそも今日の料理当番がボビーであった事自体が失敗だったな」
キノコ騒動の後、再び5人はメインルームで作戦会議を行っていた。
サラは現在自身の部屋に入っているので、階段の音を気にしながら話を始める。
「これが用意した最後の作戦だ。いいか?全力で計画を実行するよう肝に命じておけ」
「…で?その最後の作戦ってのは?」
「あぁ、今準備する。待て」
ジムは質問してきたナイジェルの肩を軽く叩き、何故か部屋の端っこへと足を進めた。
一番角の場所に立った所で、くるりとこちらを振り返る。
「ボビー!いいぞ!」
「イェッサー!!」
彼の指示でテーブルの下からボビーが取り出した物。
「キャァッ!!」
それを見て驚いたビッキーは、独特の甲高い悲鳴を上げてリッキーの後ろに隠れた。
「ビッキー、お前こんなもんが怖いのか?」
「だって…気持ち悪いよ!ヤダ!ボビーこっちに向けないで!」
「ボビー、やめてくださいよ!女性に向かってそんな!」
これは効果絶大のようだ。
ボビーが手に持っている物に対して、ビッキーは震えて怖がっている。
その手にある物。
透明のカゴに入っている。
大抵の女子は怖いと感じるものであろう。
イモリ、ヤモリ、ヘビ、カエル。
全身にヌメリ気を帯びていて、目がギョロッと飛び出しそうな、両生類・爬虫類等の生き物達が何匹もカゴの中に入れられていた。
「な!効果あるだろ!これならサラも絶対怖がるはずだ!」
「っつか、なんでテメーはそんな遠くから喋ってんだよ?」
「決まってるだろ!俺も怖いからだ!」
お前に男としてのプライドはないのか?
何の躊躇もなく堂々と叫んだジムに、ナイジェルは呆れたため息をついた。
ジムは動物から懐かれるクセに、何故か動物が苦手。
犬も猫もウサギもカメも、とにかく人間以外の生き物を受け付けない。
そんなジムにとっては、両生類、爬虫類なんかは最も嫌いとする類なのだろう。
ったく、女みてーだな…
「サラも(一応)女だ。それを見せればさすがのアイツも『キャッ!怖いわ!』くらい叫ぶだろ?」
「そんな距離のお前が言える立場じゃないがな」
【作戦B 両生類、爬虫類作戦】
そうと決まれば早速作戦開始だ。
もう回りくどい事は考えないで、今からサラの部屋に行き、出てきた所でコレを見せつける。
後の仕返しをあれこれ考えても仕方ない。
「よし!行ってこい、ボビー!」
「了解★ボビー、いっきまーす!!」
某アニメのようなかけ声。
地面を力強く蹴って走り出そうとした瞬間に事件が起こった。
つるんっ!
「…あっ」
ガッシャァァァァンッ!!!!
滑ってダイナミック転倒。
持っていたカゴが強く床へと叩きつけられ、その衝撃で蓋が開いてしまった。
「キャァァ―――――ッ!煤v
「ワァァァ―――――ッ!煤v
ジムとビッキーが同時に発狂して、カゴの中から次々に生き物達が外の世界へと飛び出してきた!
リッキー「ああっ!ちょっと!逃げてます逃げてます!」
ナイジェル「走り出して2歩で転倒って、お前は吉本新喜劇か!」
ビッキー「無理!無理ーッ!!」
ジム「何やってんだ、ボビー!早く捕まえろ!」
その間にもカエルが周りにピョンピョン。
ヘビがニョロニョロとテーブルを伝い、イモリやらヤモリが棚やソファーの隙間に潜り込んでしまう。
「あも、ボビー!ほら起きろ!」
「イテテテ。イケメンの僕とした事が…」
「中身が逃げたんだ!早く捕まえるぞ!」
ナイジェルに叩き起こされ、辺りに散らばったカエルを捕まえ始めるボビー。
リッキーも頑張ってソファーを動かし、イモリ達を捕まえていく。
「嫌ぁぁぁぁ!ここにもいるぅっ!!」
「うわぁぁぁっ!気持ち悪い!!来るな来るな来るな!」
ジムとビッキーは相変わらず逃げ回っているだけだ。
ぴちょんっ!!
「………!」
悲鳴を上げて走り回っていたビッキーの動きがピタリと止まる。
手に冷たい感覚。
サァーっと寒気が走り、全身の血の気が引いていく感覚が体でわかった。
この独特のヌルッとした感覚。
恐る恐る目を下に向けると…
「ゲロゲロッ!」
「ギャァァァァァァッ!!!這這煤v
女にあるまじき男のような図太い悲鳴を上げ、ビッキーは右手を野球選手のように勇ましく振った。
ビュンッ!と衝撃で飛んで行く!
「ねぇ…ちょっとうるさいんだけ…」
ビチョッ!!
「…!」
一気に静かになったメインルーム。
全員の視線の先には、騒ぎを聞きつけて部屋から出てきたサラの姿が。
彼女の顔には、大きなガマガエルが全体を覆うように張り付いている。
「ゲロゲロッ!ゲロゲロッ!」
「…………。」
5人全員の肌の色が見る見るうちに青白く変色した。
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