……………

カーテンを開くと太陽の光が体いっぱいに降り注いだ。

いつも通り訪れる、清々しい朝の香り。


「あぁ…眠いなぁ」

しかし昨晩遅くまで起きていたせいか、こんな爽やかな朝でもリッキーはまだまだ寝ぼけ眼だ。

普段は女性から黄色い声を浴びる彼も、オフの朝ばかりは普通の男の子と同じような上半身タンクトップ、下はトランクスというラフ(というかほとんど下着姿)な格好。

頭にも寝癖が付いていて、寝ぼけているのかテーブルの角に足の小指をぶつけて痛がっている。


ガサッ…


「ん?」

洗い終わった顔をタオルで拭いている途中、扉から小さな物音が聞こえ振り返る。

猫が逃げたかな?

まだ拭ききれていない湿った顔のまま、確かめてみようと玄関まで歩いた。

特に警戒する事もなく、ガチャンと扉を開け…


ガッ


ん?扉が少ししか開かない。

何かが突っかかっているのか?


「……っ!」

下を見た途端にリッキーは目を丸くした。

何故かわからないが、扉のすぐ下にサラが倒れているのだ。


「サ…サラッ!どうしたんですか!?」

慌てて彼女の体を抱え上げると「ううっ」と唸り声を漏らす。

意識はなんとかあるみたいだ。

何度か声をかけると、ようやく目を覚ました。


「リッキー…?」

「大丈夫ですか?なんでこんな所に…」

「ご、ごめん。夜中にトイレに行きたくなって…廊下を歩いてたら…」


その瞬間を思い出したのか、みるみるうちに彼女の顔色が真っ青に変化していく。

「サ…ラ?本当に大丈夫ですか?」

「うん…その…えっと…いたの」

「いたって何が?」


質問をしたが彼女は何も答えず、前髪で目元が隠れて表情を読み取る事が出来ない。

ただ手が微かだが震えている事がわかっ…




「イヤァァァッ!!!」

「サ…サラッ///!?」


突然奇声を上げ、物凄い力で抱きついてきたサラ。

その拍子にリッキーは勢いに押されて尻餅をつく。


「サラッ!?そのっ…落ち着いて!」

「ヤダ!無理無理無理無理!!」

「一体どうしたんですか!?しっかりしてください!」

「無理な物は無理なの!無理すぎて無理なの、結論無理は無理以外の何物でもなく無理!」

「無理がいっぱい並んで気持ち悪くて無理です!」



「オイッ!どうした!?」

そこで声を聞きつけたジムとナイジェルが、慌てて階段を駆け上がってきた。


「今、悲鳴が聞こえ…あららぁ〜?」

非常事態だと確信してはいたが、目に入った光景に、ジムは言葉の語尾を伸ばさずにはいられなかったらしい。


サラが男に抱きついている。

抱きつかれているリッキーは何故か…下着姿。

彼女も暴れたせいか、大分服が乱れている。



ゴォォォッ…



予想通り、ジムの後ろに立っている人物から尋常じゃない紫色の目に見える殺気が宙を舞いだした。

この展開は…


リッキー「ちっ…違います、ナイジェルさん!これは…その…そんなんじゃなくt」


ジュゥゥ――――――ッ!!


「アアアアアアアッ!!」


咥えられていたタバコが、トランクス野郎の顔面に押し付けられ、先程のサラの悲鳴よりも異常な声が廊下に響き渡った。


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