「あーッ!もう無理ぃ!」


ガチャン!と強くテーブルを叩いて男は立ち上がった。


「七音、うるさい」

「だって何も思い浮かばないんだもんさぁ!」

隣に座っている雨宮から叱られるが、相手はあの我が儘で生意気で気分屋で面倒臭がりの美空七音だ。

そう簡単に「ごめんなさい」と大人しく席につくはずがない。


weather lifeの5人はひとつのテーブルに集まって、来月までに完成させなければならない新曲の歌詞を考えていた。

なんでも事務所の社長から直々にマネージャーが依頼されたらしい。

先日、音楽関係者が集まるパーティに出席したらしく、そこで我々weather lifeの曲を提供すると勝手に約束したとかしてないとか…

全く。こちらとしては大変迷惑極まりない。


テーブルに何枚も広げられた








もうあの紙の白を見ただけで吐き気を覚える。

それは皆同じだが、美空は他の人間に比べて「飽き」の沸点が低く、開始して30分でこのような煮詰まり状態になってしまっていた。


「皆必死に考えているんだから我慢しろ。これも仕事の内だ」

「『仕事仕事仕事仕事』…!ミヤ君はそんなんだから、いつまで経ってもおじいちゃんなんだよ」

「おじいちゃ…って……あ、七音!どこに行く!?」

「だってこのままじゃ全然思い浮かぶ気がしないんだもん。ちょっと外をプラプラ歩き回ってくるわ」

「あ〜。ナオ君、またひとりだけ抜け出してサボるつもりぃ?」

「脳に刺激を与えた方が良いアイデアが浮かぶかもじゃん?じゃ、行ってきまーす」


雪之原の言葉をヘラヘラ笑ってスルー。

決まり文句の言葉で美空はいつものように部屋を飛び出した。


さて。行く宛もないし暇だし。

街で女の子でもナンパするか。


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