2
……………
今日も綺麗な女の人がたくさん街を行き交っている。
可愛い系、美人系、ボーイッシュ系、ギャル系…
獲物は星の数ほど存在する。
今日もいつものように適当に女の子を捕まえて、そんで適当にカラオケとか買い物に行ったりする予定だったが。
「あ!お姉さん暇?僕今遊ぶ相手がいなくてさぁ…」
「あら、ナンパ?ごめんね、今から彼氏と会う約束してるの!じゃ、また♪」
…またフラれた。
クッソ、本当に今日はツイてないなぁ。
事務所を飛び出した所までは良かったものの、手当たり次第に街を歩く可愛い女性へ声をかけても今日は当たりがない。
噴水の前で彼氏らしき男の人と合流した女性の背中を目で追いかけ、不機嫌そうに眉間を狭める。
この僕がひとりも女を誘えないなんて前代未聞だ。
史上最強、最もありえない
誰もが耳を疑う極極極稀の…
あ。
頭の中でおかしな独り言をブツブツと唱えながら歩いていると、一瞬で目の動きが停止した。
綺麗な黒髪ふんわりぱっつんヘアを腰辺りまで伸ばしている、
肌が見えるキャミソールにヒラヒラキュートなキュロットを穿いていて、
化粧もバッチリ、まるでどこぞのトップアイドルみたいな女の子。
信号待ちの人ごみの中に、彼女はひとり輝きを放ちながら立っていた。
ヤバい、めっちゃ可愛い!!!!!!!!!
超ストライク!もろタイプだ…!!
こんな大チャンスを黙って見過ごすわけにはいかない!!
美空は目を輝かせ、普段のダラダラした姿からは想像もつかない一流アスリートばりの速度で走り出した!
「お姉さぁぁぁん!!!僕とお茶しな…………あ!」
彼が話しかけようとした直後に信号の色が赤から青へ。
目当ての女性は歩き出し、少しだけ出遅れた美空は、その女性の奥にいた人の肩を誤って掴んでしまった。
「………っ!?」
ビックリした様子でこちらを見たその人。
掴んでいたのも運良く若い女性だったが…
彼女を見た美空の顔はみるみる不機嫌になってゆく。
うわ…ミスったぁ…!
なんか全然違う女の人に話しかけちゃったよ…!
しかも、なにこの人…
すっげーパッとしねぇ。
ないない、絶対ぇありえない…
胸までの紫髪をきちんとふたつに束ねた、大人しめの女性。
頭に付けた蝶の髪飾りは可愛いが、服装は肌が全然見えない…しかも茶色のワンピース。丈も長い。
ハッキリ言って、男受けしない地味なタイプ。
お世辞にも美空好みの女性とは言えなかった。
そして気づいた時には目当てのふんわりぱっつん美女は他の男にナンパされ、
あっさり持っていかれてしまった…。
我ながら…情けない。
「すいません…間違えました」
千載一遇のお目当て女性をゲット出来ず、一気にテンションが下がった美空の口からは大きなため息。
軽くだがその地味な女性に詫びを入れ、なで肩の上に背中を曲げてその場から立ち去って行った。
ったく…今日は本当の本当にツイてない。
無駄な時間を食っちゃったな。
早く次の子を探そう。
- 275 -
*PREV NEXT#
ページ: