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……………
「私……は…生まれ…つき……耳…が…聞こえません…」
「ふぅん」
言葉はなんとか話せるらしい。
目もちゃんと見えてるみたいだし、匂いもきちんと判別しているようだ。
ただ、耳だけが聞こえない。
さっきの僕みたいに大きな声で話しかけても全く気づかない程、彼女には「音」が体に入ってこないらしい。
世の中には可哀相な人もいるもんなんだなぁ…
他人事みたいに美空は自分の片耳に小指を突っ込みぐりぐりと回す。
「あのっ…」
「なに?」
女性は数秒俯いた後、美空の目を見た。
「電車の…定期券……落として…しまったんです。…一緒に探して…貰え…ませんか?」
「え…嫌だよ。僕、忙しいから」
「?」と首を傾げる彼女。
「あぁ…そうか。面倒だなぁ」
ため息をつき、彼女の顔をもう一度見る。
…はぁ。
再び先程の紙にペンを走らせた。
『どんなの?』
「赤い…定期券、入れに……入って…います」
面倒な事に首を突っ込んでしまった。
こっちは一分一秒も無駄に出来ない状況なのに。
今日もとことんツイていない。
とっとと見つけて早く事務所に帰ろう。
彼は渋々、彼女の定期券探しに協力してあげる事にした。
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