普段は料理上手なサラも風邪で神経がやられているのか、何を作ってもボビーが作った魔女の食べ物になってしまう。

おかゆを断念した3人は、再び布団の中に戻った。


「全く、いつになったら治ってくれるんだい!?もう看病を始めて2時間も経つというのに!」

「そーね…。隕石が直撃して1時間で全回復する生き物からすれば、2時間経っても風邪も治せない人間なんてクソよね…」

「タラ…なにネガティブモードに突入ちてるんでつか?人間を諦めないでくだたい」


毛布の中に潜っても一向に体調は良くならない。

鼻水、くしゃみは止まらない。

頭もガンガン痛いし寒気もする。


ナイジェルは頭を上げ、少ない体力を使って偉そうに立っているボビーを見上げた。



「はぁっ…ゲホッゲホッ…それよりなんかこの部屋暑くねーか?ボビー…窓開けてくれ…」

「なんだい、次から次へと…しょうがないなぁ!」


(シャーッ!)


「誰が社会の窓を開けろと言った!?ウィンドウだ!つかなんで、全身タイツにチャック付いてんだよ!」

「全くナイジェル君、君全然元気じゃないか。待ってくれ、今開けるから」


(ティルルル〜♪)

「なんでパソコンを開けてるんだ!?ウィンドウズじゃない、ウィンドウだ!!」


―――――――――――――――

[僕のビッグマグナム│][検索]

―――――――――――――――


「検索をするな!なんて言葉入力してんだ!いーからやっぱお前出てけ!公園にでも行って…」

我慢の限界がきたナイジェルは立ち上がり、後ろからボビーの背中を掴んだ。


その瞬間…


「コラ、君いいぃッ!!病人は寝てなさいいいいい!!!!」


ガシッ!


ボビーが叫び、

ポチャンッ!!

と、大きな音を立てて大釜の中のおかゆが床に飛び散った。


「「…………。」」


その一瞬の光景を見ていたリッキーが固まってしまう。

あれ…おかしいな。

目に映ったものを疑い、何度か擦ってみるがやはり変わらない。




グツグツ泡の立っている魔界のおかゆ大釜から…足が生えているのだ。

まさか…今おかゆが飛び散った理由って…



「アアアアアアアッ!ナイジェル!!大丈夫でつか!?ちょっと待って、今助け…」

「グズッ…寒い…」

「えっ?」


フワッと自分の掛け布団が浮いて、冷たい空気が入ってくる。

その瞬間に体に黒い影が落ちて…


ボスンッ!

寝ぼけたサラがリッキーの布団の中に潜り、体の上に覆い被さってきたのだ。


「えっ!?////ちょっ…何ッ?…待っ!」

「スー……スー…」


彼女はうつ伏せになって、火照った体で寝息を立て始める。

ちょちょ……ちょっと…待って!

これは構図的に非常に危ない!

熱いし、なにより…当たっ…

あぁっ!もう、そんなんじゃなくて!


元からりんごみたいに赤かった頬はますます真っ赤。

リッキーは誘惑に負けそうな自分に打ち勝とうと首を横に何度か振って、上にのしかかっている体を押し戻そうとする。


「ちょっと!タラ!…退いて!」

「んぐッ…あったかい…」


ぎゅうっとキツく体を抱き締めてくるサラ。

時折聞こえる熱っぽい声。

耳にも生温かい息がかかって…


無理無理無理ッ!!!!

ちょっと…マジでタンマ!////

待って待って!

何、このシチュエーション!?

これで我慢出来るって方が正直無理だって!


必死に顔を見ないようにして布団から出ようとするが、彼女も結構力が入っていてなかなか抜け出す事が出来ない。


何より自分ももうちょっとだけこのままでいたいと、自然と手の力を抜いてしまう(笑)


あっ…ちょっと!俺の脳内を勝手に書かないでください、音羽さん!


わかりましたよ!えっと…別の事を考えます!

ジムの馬鹿!

なんで猫を飼っちゃダメなんですか!

あんなに可愛いのに!!

あぁ…サラのおっぱい柔らかい(照)

うがぁぁぁっ!違う違う!///

違う事を…

ジムの馬鹿!

ジムのおっぱい……ああああ!違う違う違う!なんだ俺、気持ち悪い死ね!



ガチャンッ!


「…んっ?」


17歳の思春期妄想ワールドを繰り広げていると、扉が開く音が聞こえた。

ナース服から全身タイツに戻った緑色のボビーの背中が映る。


「ボ…ボビーッ?どこ行くんでつか?」

「悪いね、リッキー君。僕、今からバレエのレッスンがあるから出かけるよ。あとは自力で治してくれたまえ」

「え?」

鼻を真っ赤にしたまま、リッキーは効果音が鳴りそうな瞬きを何度か繰り返す。


「ちょっ…ちょっと待ってくだたい!このまんま出て行くつもりでつか!?」

「あぁ、そっか。治療代は後日請求させてもらうから安心しなさい」

「迷惑ちかかけてないのに治療費までてい求つるつもり!?待って!てめてナイジェルだけでもたつけて……あれ?」


鍋に目を向けた彼は、思わず二度見をしてしまった。

鍋から出ていた足が大分短くなっている。

さっきは犬神家みたいになっていたはずなのに、今は膝が見えなくなってしまっているのだ。

え…なんで?


溶けた?

お米と小麦粉とヒアルロン酸に合わせてよく煮込まれてドロドロに溶けちゃって…

わぁ、美味しそう。


「じゃない!ナイジェルが!!ナイジェルがおかゆ死ちてちまいまつ!」

「何をわけのわからない事を言っているんだい?君達看病してもちっとも治らないし、僕はもう時間がないから行くよ」


「待ってくだ…ボビー!ちょっ…タラ、放ちて!」

「んぁぁ…チョビ丸は可愛いわねぇ…」

「俺、チョビ丸ぢゃないから!いい加減起きてくだたい!」


- 302 -

*PREV  NEXT#


ページ: