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……………

俺はバレルの代わりにウィンディランに入る決意をした。

最初、上司に頼まれた時はとんでもないと思った。

「バレルが怪我をしてくれてラッキー」自分だけが美味しい所を持っていく現実に、かなりの罪悪感を覚えるだろう。


しかし、あの上司はそうじゃないという事を俺にわからせてくれた。

俺はバレルの夢を潰さない為に、彼の分まで全力でやってやると心に誓ったのだ。


彼とは未だ連絡が取れないが、ずっと友として、後輩として付いていた俺に

彼の気持ちがわからないわけがない。

彼はきっとそう望んでくれる。

無口で冷たい人に見られがちだが、本当は心の優しい人間だって俺は知っているから。


信じている。

バレルの為に頑張れば、きっと笑ってまた会えるはずだ。






*****


リッキーはベッドの上でゆっくり目を開けた。

いつの間にか眠っていたらしい。

夢にまで過去の記憶が蘇ってきたのか。



ピッ



携帯を開き、アドレスから「バレル」の名前を探し、電話をかける。


『この電話は現在使われておりません。もう一度番号をお確かめの上…』



事故の当時から、このナレーションの音は変わらない。


重い体を起き上がらせベッドを降り、カーテンを開く。

まだ外は薄暗く、月の光が部屋の中を少しだけ明るく照らす。


「バレル…」


窓に手を付け悲しく下を向く事しか、今の俺には出来なかった。


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