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……………

「話を聞いてもらえるといいな、リッキー」

「はい」


広がる午後3時の青空に、響くバイクのエンジン音。

信号待ちの途中、ジムが隣にいたリッキーに話しかけると彼は小さく頷いた。

昨晩の話し合いの結果、社長に相談するのが一番早いと決まり、6人は社長が出勤している別センターへ走っていた。


「でも、仮に本当に社長が先にバレルを指名した事を認めたらどうするの?」

「その時は社長をクビにする」

「平社員が何言ってんのよ」

そのサラの言葉に「ははっ」とヘルメット越しに笑うジムの声。


「大丈夫さ。あの人がそんな事をするはずがない。俺達はずっとあの人に付いて来たんだからわかるだろ」

その言葉にそれぞれがクスリと笑い、そして頷いた。

あまり何も考えていなさそうな人だが、このグループの頭という一応の事実とこれまでの経験から、ある程度は信頼を置いている人物。

きっと大丈夫だ。


「それにしてもナイジェル。昨日は大丈夫だったの?」

次はビッキーが昨晩の事を思い出し、紫色のヘルメットを被ったナイジェルに顔を向ける。


「あぁ、理事長に何時間もグチグチグチグチな…」

「ナイジェル、しょっちゅう呼び出されるもんね!慣れてるでしょ?」

「ふざけんな、毎回毎回。もう心がズタズタだ」

ボビー「じゃぁ何をグチグチ言われてたんだい?」

「…………。」


会話を盗み聞きして横でジムが笑っている。

理事長の説教が毎度長い事は、今に始まった事ではない。

1時間説教があるなら、55分は彼がひとりで話をしている。

あのナイジェルならその55分の間で眠らないはずがないのだ。

その光景を想像して、この隣の男も笑っているのだろう。


「あ、青に変わった。行くぞ!」


車道側の信号の色が赤から青に変わり、6人は再び走り始めた。

本部からその別センターまでは、バイクで約20分程度。

通い慣れた道のりを進み、ようやく目的地の建物が見えてきて、カラフルなバイクは順番に駐車場の中へリズムよく入っていった。


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