20


……………

『さぁ、バレルさんの着替えが完了したようです!リッキー選手と互角の力を持つという彼の実力は、一体どれほどのものなのでしょうか?』


数分後、私服からライダースーツに着替えたバレルがトンネルから姿を現した。

最初に現れた時のスーツによく似た黒のデザイン。

片手に持っているヘルメットも、それに似合った黒とワインレッドの光沢のあるもの。

珍しいイベントがあると盛り上がっている観客の姿を、耳に付けている蛇のピアスが睨みつけていた。


そこで準備の整ったアナウンサーが早速解説を始める。


『えぇ…では急遽決定したルールが届きましたのでお伝えします。
試合はこの第2コースを3周、先にゴールをした方が勝利。

それ以外のルールはなし…との事です』

ここはリッキーが前回バレルと戦ったコースと同じ。

ルールも変わらない。

つまり条件は先日と全く同じという事だ。


アナウンサーの指示もあり、ふたりはバイクを引いてスタート地点についた。

周りの客もかなり盛り上がっている様子。


『さぁ、嵐のように始まりました、ジム選手とバレルさんのマッチレース!
果たして先にゴールラインを通過し、勝利を掴み取るのはどちらの選手なのでしょうか!!』


顔を一瞬だけ見合わせ、お互いヘルメットを被りゴーグルを装着する。

音を立ててエンジンをかけると、パイプから灰色の煙が噴出して緊張感が一層高まる。

観客全員も

メンバー4人も

そして遠く離れた場所のリッキーも

瞬きを忘れて、その瞬間を見つめていた。



「約束だ。この勝負で負けたらリッキーから手を引け」

スタート直前、横に並んでいたジムに静かに声をかけられ、黙って瞳だけを隣に向けるバレル。


「…わかった」


『それでは参ります!』


アナウンサーの合図で体を前かがみに倒し…


3…

2…

1…


…―必ず帰ってきます…―――――



ジムの頭にその言葉が何度も蘇った。





GO!!!


ブォォォォォォッ!!!


2台のバイクがターボをきかせて、スタートダッシュを決めた。


- 324 -

*PREV  NEXT#


ページ: