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「エッグション!」
オッサン独特の無駄に大きなくしゃみが響く。
ここはウィンディラン本部。メインルームだ。
「なんだ?ナイジェル、風邪か?」
「かもな。鼻水も止まらねぇし…ズズッ」
「馬鹿も風邪ひくんですね。うわっ!汚っ!」
鼻をかんだティッシュを投げつけられ、慌ててジムの後ろに隠れるリッキー。
相変わらずこういう所がこのふたりはガキっぽい。
いい歳した男がティッシュの当たった部分を手の平に取って、お互いの肩や背中などになすり付けて、最終的にジェル菌は灰色の壁に擦り付けられる。
結局元凶となった鼻かみティッシュさんは床に転がったままだ。
「ったく。そのティッシュは投げた本人が捨てとけよ」
「うっせーな。それが病人に対してかける言葉かよ。あー…サラが帰ってきたら手厚い看病をしてもらお」
かみすぎて真っ赤になった鼻を擦りながら、ナイジェルは転がったティッシュを煩わしそうに拾ってゴミ箱に入れた。
今はサラとビッキーが仕事で出ていて、この部屋にはムサい男しかいない。
なんとも華が感じられない盛り上がりに欠ける室内だ。
「エッグシッ!もう…鼻かみすぎてもげてしまいそうだ」
「僕、風邪薬を持っているよ」
そう言ってキッチンから歩いてきたのは、今日も肌が褐色に輝くボビー・マローン。
なぜ彼が毎日緑色の全身タイツを着ているかは「Fender Kiss」の七不思議のひとつに数えられる。
彼は風邪気味のナイジェルの前に立つや否や、お尻側のパンツの中から錠剤の入った茶色の小瓶を取り出した。
「お前…今どこから出した?」
「見た目は正露丸みたいですね」
ジムとリッキーも興味津々にその小瓶を覗く。
「これはマローン家に先祖代々伝わる秘伝の薬草を調合した薬さ。これを飲んで一晩眠れば、すぐに元気モリモリのビンビンになるぞ!」
「もっと違う表現出来ねーのかよ。ボビーの持ってる薬…まぁ何も飲まねーよりはマシか」
ナイジェルは半分…いや、80%疑いの念を持ちつつも、その秘伝の薬を受け取った。
中に入っているたくさんの黒玉に、まだ不安を拭いきれないが。
「そうだな。今風邪薬も丁度切れてるみたいだし、何も飲まないよりはマシだ。それ飲んで冷たいタオル頭に乗せてちゃんと寝るんだぞ?」
「んな事テメーに言われなくてもわかってるっつーの」
最後にもう一度ティッシュで鼻をかんで、彼は自室へ戻る為にメインルームを出た。
後姿を見る限り、いつにも増して足取りが重く見られる。
結構ニヒル気取って見栄を張るタイプだから、言わないだけで相当体調が悪いのだろう。
「さて、俺達はどうします?」
「とりあえず、サラとビッキーが帰ってくるまでまだ時間があるし…適当に暇でも潰しておくか」
「ビッキーちゃん♪早く帰って来ないかなぁ!」
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