……………

こうしてバイク組は本日一日だけ、ファミリーレストラン「ジョイント」で風邪を引いてしまった従業員の穴を埋めるべく仕事の手伝いをする事となった。

とりあえずまず最初に決めなければならないのは、誰がどの仕事をするか。役割分担だ。


「じゃーん♪ね、見て見て!可愛いでしょ?」

ひらひらフリルのメイド服。

紺と淡いクリーム色が印象的な「ジョイント」指定のウェイトレス衣装だ。

それを着たビッキーが楽しそうにくるりと一回転してみせると、スカートが甘くふわりと舞い上がった。


「誰がアンタにウェイターをやらせるって言ったのよ…」

「だって!一度着てみたかったんだもん、メイド服って!」

不覚にもときめいてしまっているジムの隣で、サラが腕を組んで大きくため息をついた。


「まぁ、言ってもどうせ聞かないだろうし。私はそんなもの似合わないからビッキーで丁度良いか」

「わぁいっ!リッキーに見せてこようー!」


憧れの「メイド服」を身に着けてご機嫌なビッキーは、スカートをなびかせながら男の元へ走っていく。

そんなに楽しいのなら、そちらを本業にすればいいのに…



バチンッ!

「痛っ!」


これはジムがサラから後頭部をひっぱたかれる音。

「何すんだよ…」

「鼻の下を伸ばしてる時間があったらアンタも早く着替えなさい」

「え?俺もウェイターやるの?」

「当たり前でしょ。あの小娘ひとりに接客なんてやらせたら、この店一時間もしないうちに半壊よ」

サラから綺麗に畳まれた男性用のウェイター服を渡される。


「それに…」

「それに?」


「ジム、雑用得意でしょ?」

「…………。」



不本意だが否定出来ない。

彼は背後に黒い影を落としながら、その服を受け取った。






……………






とりあえず接客担当のウェイターはジムとビッキーで決定。

あとは残りのメンバーだ。


「サラは何をしますか?」

リッキーからそう訊かれて、彼女は借りてきた白いエプロンを取り出した。


「私は裏のキッチンでいいわ。料理は好きだし」

「さっきルーイさんがキッチンにはヘルプがふたり欲しいって言ってましたよ」

「そうなの?じゃ、リッキーも一緒にやりましょう。ボビーとナイジェルはどうせレンジでチン位しか出来ないしね」


「おい、それどーいう意味だよ」

そこへキッチンの食材をつまみ食いしていたナイジェルがだるそうにやってきた。

やはり、彼に食材を触らせるわけにはいかないな。


「ナイジェルにはレジをしてもらおうかな。出来る?」

「あたりめーだ。ボタン押せば機械が勝手に計算してくれんだろ?出来なかったらクズだよ、クズ」


レジの前に立って…


「じゃ、試しに私が客になるから、この伝票で会計をしてみて?」

「任せろ。えっと…字が小せぇな……いっせん……ろっぴゃく…ん?ろっぴゃく、にひゃく…さんじゅうごえんだな!」


リッキー「はい、クズは触らないでください。サラ、レジは俺がやります」


という訳でリッキーがレジ、サラとナイジェルがキッチンを担当する事に決定。



「サラちゃん!僕は?僕は?僕は一体何をすればいいんだい!?」


最後にやたらテンションの高い奴がやってきた。

呼び出しボタンを連打して遊んでいるボビーだ。


「そうね、やっぱりボビーはあれかな?」

「なんだい!?なんだい!?」










「ィルァァァシュァァァアアイッ!!!!ィルァァァシュァァァアアイッ!!フゥ〜!そこのお兄さん!?腹が減っては戦は行けないよ!?フゥーフゥー!」


店の入口で「ジョイント」とプリントされた大きな旗を振りかざしてハッスルしているボビー。

3人は黙ってそれを見ていた。


ナイジェル「なんだ?あれは」

サラ「客寄せ兼番犬よ。嫌な客が来たら困るでしょ?」

リッキー「あれじゃ普通のお客さんも入れませんよ」

サラ「うそ?じゃぁ、残りの業務は『食材』しかないわよ。どーやって調理するの?」

ナイジェル「マジで?仕事出来ねーと調理されんのか?俺頑張るわ」



という事で、ボビーの担当は皿洗いに決定。

これで全員の担当が決まり、6人のファミレスでの初業務が開始された。


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