「いらっしゃいませ!こちらへどうぞ!」

腹を空かせた客が次々と扉を開け、ドアベルは休みなく鳴り続ける。

オレンジと白で統一された店内は活気付き、慌しくウェイター達が駆け回っている。

時間はお昼の1時。

忙しい時間帯だ。


……………

ジム「ビッキー!違うだろ?オムライスは13番じゃなくて8番テーブルのお客様だ。13番テーブルは焼き肉定食だぞ!」


ジム「ビッキー、その持ち方じゃたくさん運べないだろ?こうすれば…ほら!出来るじゃないか!」


ガシャァァンッ!!Σ


ジム「わっ!大丈夫か、ビッキー!コラ、手を切ったら危ないだろ?片付けは俺がやっとくから。
控え室に新しい制服が置いてあるから、お前はその汚れた服から着替えてこい。

あー、もう泣かなくていいからサラでも連れて早く行ってこい!」









ビッキー「ジョバンニって、なんか接客のプロみたいだね。前にこういう仕事をやってたの?」

「ジムだけど…多分した事はない」

↑日頃の生活から気配りパラメーターが異常に高い



……………



ナイジェル「なぁサラ…」

サラ「何?」

「タバコ吸いてぇ」

「は?人の料理作ってる時にタバコ吸う馬鹿がどこにいんのよ!我慢しなさい」


中華丼の具を作っている彼女に怒られて、再びパフェ作りの作業に戻る。

コーンフレークを入れ、生クリームを…


「サラ…やっぱ…」

「タバコ吸ったら、この中華鍋に頭ぶち込むわよ」

「…ッ」


殺害予告をされ、再びパフェ作りの作業に戻る。

アイスを乗せ、チョコレートソースをかけ、ポッキーを…


「…………。」


ポッキーを…


口に咥えr…



「何してんの…?」

「タバコじゃねーからいいだろ」








ジム「ナイジェル!3番テーブルのチョコレートパフェは…ん?なんでお前、口にガムテープ貼ってんだ?」




……………




ボビー「オオオオ!なんときめ細やかな泡立ちなんだ!ふわふわマシュマロホイップではないか!」

キッチンA「なんなんだ、あの皿洗い?」

キッチンB「手伝ってくれるのは嬉しいけど…独り言がデカすぎ」

キッチンC「え?あれ独り言だったの?誰かと話してるのかと思った」


ボビー「ム!この泡ならきっと角質の汚れも…!わぁぁっ!僕のプリプリ肌が…むきたてゆで卵プリプリ肌に!」

キッチンA「洗剤で顔を洗い出したぞ!おい、大丈夫なのか?」

キッチンB「本人が喜んでるからいいんじゃ…」

「ほら!君達もやってみたまえ!」


え!!?

ウワァァァァッ!!!!









ビッキー「サラ!10番テーブルの手羽先は…」

「あぁ…はい、どうぞ」

「…………。




うわぁぁっ!ナニコレ!!

『手』じゃん!『手羽先』じゃなくて…これ…

ボビーの手ぇぇえっ!(涙)」




……………




客A「美味しかったよー!お姉ちゃん!」

「きゃっ!離してください!」

「俺は客だよ?ねぇ!君、名前は何ていうの?」

来店していた柄の悪い茶髪のチャラ男は、なかなかビッキーの手を離さない。

そこへジムが慌てて駆けつける。


「お客様!止めてください!他のお客様にも迷惑が…」

「ウッセーな!店員が客に指図すんな!」


ドンッと軽くジムの胸を叩き、小さく舌打ちをして席を立つ。



「………。申し訳ございません」

「ったく、気ぃつけろよ…」


彼は雑な手つきで伝票をテーブルから取る。

どうやら気分が悪くなったので帰ると決めたらしい。


他の客の嫌な視線を気にする事なく男はレジまで向かい、担当のリッキーに伝票を渡した。

「早くしてよ。俺、急いでんの」

「はい。カルボナーラが1点、フライドポテトが1点、アイスコーヒーが1点。合計150万円になります」

「………………。はぁッ!?んな食ってるわけねーだろ!ふざけてんのか!?」


店員の信じられない請求に、思わずレジ台に身を乗り出すチンピラ。

「こんだけしか食ってねーだろうが!たかだか1500円程度だろ!?」

「はい。カルボナーラ1皿700円、フライドポテト1皿350円、アイスコーヒー1杯400円。合計で1450円となりますが」

「だったら…」

「残りの149万と8550円は慰謝料となります」


先程まで笑顔で接客をしていた彼が突然瞳孔を広げてギロリと睨み付けた途端、チンピラは驚いて後ろに下がった。


「払えないのであれば結構ですが、今後一切店員や他のお客様の迷惑になる行為はしないでくださいね♪」

再びニコリと笑うレジの店員。

コイツ、ヤサ男みたいな面をして腹黒いオーラが滲み出てやがる。


「チッ。意味わかんねぇ…」

男は汗を垂らしつつ、お金をレジに置いてそそくさと店から立ち去った。


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