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……………
その後スタッフや6人のメンバー全員で片付け作業に取り掛かり、クレーマーおばさんの荒らしたテーブルも元通り綺麗になった。
「お見苦しい所を見せてしまってすみません…」
「いや、やっぱりあんな客もいるんだね。つくづく接客業って大変だって実感したよ」
「こういう世界では仕方ない事なんです。これも仕事の内ですから」
片付け終了後、申し訳なさそうに謝るルーイを見て、彼らは複雑な気持ちになった。
世の中にはこういう理不尽な人間も存在する。
それでもまともな人間がそれを真摯に受け止めないと、世の中上手く回らない事だってたくさんあるのだ。
「この場にいる人は全員、ここのスタッフの人達が悪いなんて思ってる人はいないと思うよ」
「ありがとうございますッ……あっ!」
何かに気がつき、ルーイは走り出した。
ドアノブに手をかける男性がひとり。
おばさんを怒鳴りつけた客が帰ろうとしている姿が目に入ったのだ。
「あの…!」
「………。」
ルーイに呼び止められても、バレルは返事もせずに黙って振り返るだけ。
「先程は…ありがとうございました。そのっ…こういう事を言ってはいけないのですが…
貴方が怒ってくださったおかげで、私達…凄く助かったというか…」
「…別に」
「バレル♪」
名前を呼ばれて首を向けると、リッキーがニコニコ笑ってこちらを見ている。
「………。」
ジム「それにしてもバレル。客として来てたなら、俺達に話しかけてくれればよかったのに」
「友人でもない貴様等に話しかける義務はねぇ」
リッキー「またまたぁ!恥ずかしかっただけだよね?」
「…………。」
あっけらかんとしたリッキーの言葉を無視し、ノブを引いて帰ろうとするバレル。
そこで何者かから強引に袖を掴まれた。
チッ。コイツらしつこ…
「………ッ」
その人物を見てバレルは一瞬だけ目を見開いた。
掴んでいたのはリッキーでもジムでもなく、ウェイトレスのルーイだったのだ。
「あの…!もしよかったら…ここで働いてくれませんか!?」
「…………は?」
彼女の突然のお願いに、珍しく素の返事を漏らしてしまった。
何故…そうなる?
「そうねぇ。貴方だったら用心棒にピッタリじゃない」
「そういえばバレル君、ミランダの事務所辞めたんでしょ?次の事務所が決まるまでここでバイトしちゃえばいいじゃん!」
無責任な女達の耳障りな言葉が耳に入ってくる。
「ふざけんな。なんで俺が…」
「ここのファミレスは貴方みたいな人を探してたんです!そのっ…ここのスタッフは人は良い方が多いのですが…えっと…気の強い人がいなくて…
今のようなお客様が来た時にどう対処していいのかわからなくて…!」
要するに、強そうな外見の店員が欲しかったらしい。
「面倒くせぇ。そんなもん他で探せ」
「お願いします!私は貴方なら絶対やれると思います!」
「貴様に俺の何がわかる。ウゼェ、離せ」
「お願いします!!」
あのおばさんでも腰が抜けてしまった位の怖い外見の彼。
若いルーイには足が震えてしまう恐怖だったが、それでも必死に彼を勧誘しようと粘る。
緑色の髪の旋毛が何度も見える程頭を下げ、バレルも外へ視線を流す。
「いいじゃないか!やれやれ!」
「俺達、ここのファミレスにはよく来るから、会いたくなったらいつでも会えるね!」
「会いたくねぇから」
「チッ」と、調子の良いリッキーに舌打ちすると…
スタッフ全員が寂しそうな目でこちらを見ている事に気がついた。
「…………。」
バレルの強面の表情が固まり、沈黙は続く。
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