……………

カラン!


「いらっしゃいませ!」

出迎えてくれたのは、先日おばさんに酷くいびられ泣きかけていたウェイトレスの女の子。

あれからルーイや他のスタッフ達に支えられ、無事に立ち直る事が出来たようだ。


「3名様ですね。こちらへどうぞ!」


席へ案内され、水を運んできたのは相変わらず緑色のお団子頭が可愛らしいルーイだ。


「あ!ビッキーちゃん、久しぶり!あれ?今日は人数が少ないね?」

「うん。サラとナイジェルは仕事で出てるの。ボビーも今、手の再生してるから事務所に置いてきた!」

「さ…再生?」


彼女には言葉の意味が理解出来ず、目が点になっている。


「で、今日はリッキーとパウエルと私の3人で来たってわけ!」

「ジムな」

「ルーイさん。バレルはどうしてますか?」

「あ、バレルさんなら…」


リッキーから訊かれ、ルーイが視線を喫煙席に向けると、そこにはウェイター姿でぎこちなく接客をしているバレルの姿があった。



「海鮮パスタと…ホットケーキでよろしかったですか?」

「店員さん、違います。僕が頼んだのは和風パスタで…」

「ア゛ァ?」

「………すみません。海鮮パスタをお願いします」




「ハハッ。アイツらしい接客だな(笑)」

その会話を聞いて、ジムが笑いながら頬杖をついた。

リッキーもニコッと笑って再びルーイに目を向ける。

「そうですね。店の人には迷惑をかけてないですか?」

「まだ入ったばかりで慣れていないのもありますが、あの接客なので店長にはよく怒られてはいますね。
でも彼、見た目は怖いですが顔が格好良いので女性のお客様に人気なんです。彼がシフトに入ってると売り上げが伸びるとか…」

「そっか、やっぱイケメンっつのはそれだけで得なんだな!」

ジムの冗談に3人はケラケラと笑う。


「あ、それであのお客はどうしたの?」

「あのお客?」

「ほら、あのクレーマーおばさん」

「あ、それならほら」


後ろを指差され振り返ると


「うわ!!」


いた…しかも自分達の真後ろに。

ビッキーとリッキー、そしてジムは思わず口を抑えた。


「ははっ!大丈夫ですよ。よく見てください」

笑って小声で話すルーイの言葉を信じて、もう一度ゆっくりと覗いてみると…






「はぁ…どうして今日も貴方はアタシの傍にいないの…///アタシはこんなに毎日、貴方だけを待ち続けているのに!」


ナイジェルが投げつけたタッパーを大事そうに抱えて自分の世界に入り込んでいた。

恐るべし…熟女にモテるナイジェルの力。


「毎日来店してはナイジェルさんを探してるみたいです。前みたいにクレームは全然出さなくなったし、とりあえず一件落着したって感じですね」

「そ…そうですか。とりあえず…ジム…もうちょっと詰めて」


言葉を信じてはいるものの、やはり前回の件でトラウマがあるらしく、極力おばさんから離れるように3人はソファーの隅へ移動した。

それを見てルーイは笑っている。



「ルーイちゃん!レジをお願い!」

「あ、呼ばれてる!ではお客様、注文が決まりましたらボタンを押してお知らせください!」



仲間のスタッフにヘルプで呼ばれ、ルーイは軽く一礼した後レジまで走って行った。

3人はそれぞれ注文を終え、雑談をしている間に料理が運ばれてくる。

周りを見渡してみると、楽しそうに話をする人、美味しい料理に満足して笑顔で帰って行く人ばかりだ。

やっぱりファミレスはこういう場所なんだな。


「よし!野郎共、手を合わせろ!」

突然ジムがそう言って動作を煽る。


「フフッ!はぁい♪」

「はい」

ビッキーとリッキーもジムに合わせて手を重ね…





いただきまーす!!





fin


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