……………

ジムの妹、ローラの頼みで6人が久々にやってきたのが、ファミリーレストラン「ジョイント」

街の中心部にあり家族連れの定番とも呼べる店である事から、メンバーも休日などによく足を運ぶ店。

いつもは美味しい食事を楽しみにやってくるジム達だが、本日は訳が違う。

何しろ可愛い可愛い妹を、恐ろしい虎の檻に連れて行くような行動に等しいのだから。

楽しみもへったくれもない。

兄は「やっぱり行くな」と、何度も妹の腕を掴んで逃げようとしたが、そこはビッキーに阻まれ全て失敗に終わっていた。



カララランッ!


扉が開くと設置してある鈴の音を聞きつけ、ウェイトレスがやってきた。


「いらっしゃいませ!あ、皆さん、こんにちは!」

出迎えたのは以前この場所で出会った、ビッキーの友人のルーイという女の子。

以前からここで働いていたらしく、緑色の長い髪をお団子に縛ったヘアースタイルが特徴的の中華系女子だ。


「久しぶり!今日はね、ご飯を食べに来たんじゃないんだ!バレル君いる?」

「そうなんだ!彼なら今休憩時間だから暇だと思うよ!ちょっと待っててね」













数分後、ルーイから指示された店の裏で待っていると、バレルが裏口から扉を開けて出てきた。


「あ、来た!バレルこっち!」

リッキーから笑顔で手を振られ、相変わらず不機嫌な表情でこちらへ向かってくる。

助けてくれた時と同じウェイターの姿をしているが、その表情や顔の傷、耳に付けているピアスなどからどう見ても従業員には見えない。


「……ッ////!」

彼の姿を見た途端、ローラは頬を赤らめて背の高いサラの後ろに隠れた。


「俺は貴様達みたいに暇じゃねぇ。手短に済ませろ」

「今、休憩時間なんでしょ?ちょっとバレルにお願いがあって来たんだ」

「…………。」


彼は黙って眉間にシワを寄せている。


「この女の人と一日だけデートして欲しいんだ!」

「キャッ…///!」


リッキーはそんなバレルの険悪な空気も読まずに、連れてきたローラを自分の前に突き出す。

彼女は顔を真っ赤にしてどこを見ていいのかわからない状態だが、そこがまた愛らしく感じられる。

こんな綺麗な人とデートなんて望んでも叶わない男がほとんどだ。

まず断るなんてしないだ…






「帰る」




「……ッ!!?」


本気で帰ろうと背中を向けたバレルの行動は予想外。

リッキーは慌てて右手を伸ばし、彼の肩を無理やり掴んだ。


「え!?待って待って!『なんで?』も『俺が?』も飛び越えていきなり直帰!?だってバレル、この人知ってるんでしょ?」

「知らん」

「そんなはずないよ!だって不良から助けたって…」

「いちいち殴った『お客様』なんて覚えてない」

「なんで『お客様』?お客様殴ってるの!?」


事情はよくわからないが、バレルはローラの事を覚えていないらしい。

彼女はショックのあまり目を潤ませ、その上ちっちゃくなって石のように硬直してしまっている。


そこでさすがに妹が哀れになったのか…

兄としてジムが名乗り出た。

「なぁ、バレル頼む!コイツ、俺の妹なんだ。凄く良い奴で…俺の妹にはもったいない位の良く出来た奴で。
そんな妹が初めて人を好きになったらしいんだ!

覚えていないなら今から覚えてくれればいいから、この子と一日だけデートしてくれないか?俺からもお願いするから!このとおりだ!」

「お兄ちゃん…」


熱心に頭を下げる兄の姿を見て、妹の胸が締め付けられている。



「なんで俺が知らねぇ女と出歩かなきゃならねんだ。嫌に決まってんだろ、ウゼェ」

「………。」

ジム「お前みたいなクソガキは、ローラの半径50m以内に近づくなァッ!!怒」

ナイジェル「結局どっちなんだ、コイツ!」


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