……………

誰が何を言っても、なかなかバレルは首を縦に振ろうとしない。

さすがのコイツも男には違いないから、少しは喜ぶかと思ったが…

むしろ帰りたがるばかりで、ローラの初恋の暗闇に光が差し込む気配すらない。

会話を聞いている彼女の表情はどんどん沈んでいく。



「コラァッ!新入り!もうとっくに休憩時間は終わっとるだろうが!」

そこへ裏口の扉を開けて、禿げた小柄なおじさんが怒鳴り込んできた。


あ。この人、今日彼を店に連れて行った…

あの時は頭がポーッとして気づかなかったけど、名札に店長と書いてある。

ローラが午前中の出来事を思い出している間に、おじさんはズカズカと群集の中に入ってくる。


「全く!お前はいつもいつもサボリおって!」

「…今、お客様の相手をしているんです」

「3番テーブルの注文間違えただろ!早く行ってこい!」

「このお客様の相手をしてるんです」

「飯食ってる客が優先に決まってるだろうが!早く行け!」

「…………。」


唾が飛んでくる店長の怒鳴り声に、眉間にシワを寄せたバレル。








「行く」

「え?行くって…」


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