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……………

「何故だ…。何故俺が殴られなければならない?」

「ごめんねぇ。ルパンに不良の格好させてたのすっかり忘れてた!」

「ジムだ」


場所は変わって、最初に待ち合わせをした人通りの多い駅前。

殴られた頬を冷やす処置も行わず、ただ絆創膏をやたらめったら貼ってくるビッキーにも、ジムは反撃する力が残っていない。



「お兄ちゃんごめんね。私、さっきの不良の人達の仲間かと思って…」

「いいんだ、ローラ。俺はお前になら百万回殴られたって全然痛くないから」

ナイジェル「お前一回殴られただけで失神しただろ」

「うるさい。体は重傷でも心は無傷だ」


とりあえず、ビッキーの手荒な治療が終了した所でサラがローラの方に体を向けた。


「それよりローラさん。今日のデートはどうだった?」

「凄く楽しかったです。一時はどうなるかと思いましたが、バレルさんにまた助けてもらったし

…新しいハンカチも買って頂けたし///」


手に持っている水色チェック柄のハンカチを見て、ローラはまた頬を赤く染めている。

憧れの彼に買ってもらえた事もあり、よっぽど気に入っているのだろう。



「あ、バレル!」

突然電話の着信音に呼び出され席を外していた彼も、不機嫌な顔をしながらようやく輪の中に戻ってきた。


「誰からの電話だったの?」

「貴様には関係ねぇだろ」

「店長さんでしょ?」

「…………。」


コイツは昔からそうだ。

アホみたいにヘラヘラして、おかしな所だけ妙に勘が働く。

そんな馬鹿にズバリと電話の相手を見抜かれ、なんとなくバレルは目を逸らした。


ローラは会話が終了した事を確認して彼の元まで歩み寄り、丁寧にお辞儀をする。


「今日は本当にありがとうございました。二度も助けて頂いた上にハンカチまで買って頂いて…凄く嬉しかったです」

「助けた覚えはねぇ」


前にも一度聞いた事のあるような言葉の響き。

実は最初に会った時の事を覚えているのか、はたまたそれが彼の口癖なのか。

どちらかは定かではない。


「いつかもう一度お会い出来たら、また一緒にお出かけしてもらえると嬉しいです」

「……。」


相変わらず無口で愛想もへったくれもない彼は、興味なさそうに地面に目を向ける。

しかしそんな彼の顔を見るローラの表情は温かい笑顔だ。

どうやら本気で彼の事を気に入ってしまったらしい。



「あっ…お前そろそろ空港に行かないと間に合わないんじゃないか?」

「そうだった」

慌てて腕時計を見ると時間は夕方の4時。

余程楽しかったのか、夜の飛行機の便で日本に戻らなければならない事をすっかり忘れていたらしい。

「すみません。お時間が来てしまいました。
私は日本に出発する飛行機に乗らないといけないので、この辺りで失礼します。
皆さん、本当に今日はありがとうございました」

協力してくれた兄の仲間5人、そしてバレル本人に深々と再びお辞儀をした妹。


「気をつけて帰ってね!」

「はい!また帰ってくる時は連絡しますね!」

「バレルの連絡先は今度俺からメールしておきますよ」

「…………。」

「あはっ(苦笑)いいじゃん、別に!」

最後のリッキーの言葉にバレルが冷たい視線を浴びせるが、彼は笑いながらナイジェルの後ろに隠れてしまった。


「それでは、失礼します」

「ああ、気をつけてな!」


ローラは子どものような明るい笑顔で手を振り、その場を去って行った。


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