コンコンッ!

「ん?」

扉を叩く音が耳に入り、ジムはキッチンからメインルームへ出た。


現在、騒がしい他5人の仲間達は理事長からの命令で不在。

久々のひとりの時間。

テレビを観たり輪ゴムをいじったり輪ゴムを伸ばしたり輪ゴムを壁に飛ばしたりと暇を潰していたが、途中小腹が空いてしまい、丁度卵焼きを焼いていた所だった。


コンコン!

再び叩かれる扉に、ジムは慌てて水浸しの手をタオルで拭いた。

あの無神経なアイツ(鍵のかかっているドアをぶち破ってリッキーに飛びついてくる奴)や

コイツ(泥酔し、窓(しかもトイレの)から帰ってくる奴)が

わざわざご丁寧に扉をノックするはずなんてない。

きっと来客だ。


「はいはーい!今開けますよ」


廊下を走り、扉の前まで来た。


ガチャン!



「何かご用で……あ」



見覚えのある茶髪。

開けて早々、鋭い目でお客様はジムを睨み付けてきた。

バレル・ヒューストンだ。


「あぁ、お前か!どうした?遊びに来たのか?生憎今リッキーはいな…」

「勘違いすんな。貴様の目はどうやら節穴らしいな」

「えっ?」

よく見るとファミリーレストラン「ジョイント」のウェイター服を着ている。

だとすると…今はバイト中?


「あ!まさかサボリに来たんじゃないだろうな!?店長にチクるぞ?」

「…………。」

全く表情を変えない相変わらずの冷酷な視線に、ジムも若干の恐怖を覚えた。


「え?いや、あのね…。君はお給料を貰ってるんだよ?サボってばかりいたらそのうちクビに…」

「ここには貴様しかいねぇのか?」

「え……あぁ…そうだけど」

「…………。」


10秒程顔を見られる。

コイツとは前回の件以降勝手に打ち解け合った気でいたが、いざこう間近で睨み付けられると手足が動かなくなる。

まさに蛇に睨まれたカエル状態だ。


「あ…あの……バレル…?」


ガシッ!


「へっ?」

怯えているジムの腕を掴んだかと思うと、そのまま強引に外へ引っ張り出された。


「来い」

「はっ?ちょっと待てよ!まだ卵焼きがそのまま…」

「いいから来い。ガタガタ言ってると殺すぞ」

「コロッ…!!?」


端から見れば完全に誘拐。

ジムの脳裏には、日頃のバイトのストレスを発散すべく、これから裏に連れられてボコボコにされる自分の姿が浮かび…



「あああああッ!嫌だ離せお前っ!俺はまだ死にたくない!」


周りにいた一般市民、全員の注目を集めた。


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