……………


「…え?」

テーブルに無理やり座らされ、目の前に積み上げられたのはたくさんの用紙。


ここはバレルがバイトをしているファミリーレストラン「ジョイント」だ。

周りには彼の他に、ルーイや他のウェイターも集まっている。


「バレル君、やっぱりこの人連れてきたんだ?」

「コイツしかいなかったからだ」


ポニーテールのウェイトレスの言葉に対しても冷たく返すバレル。


「あれ?何?殴らないの?」

「…殴る?」


眉間にシワを寄せるその表情は恐ろしいままだが、彼に暴行を加えようとする気迫は感じられない。


「あれ?ジムさん、聞いてないんですか?ちょっとお店の手伝いをお願いしたくて、バレル君に助っ人を呼んできてもらうように頼んだんですよ」

「助っ人?」


今日も頭のお団子がキュートなルーイが笑った。

ジムはとりあえず前に置かれた紙の束から上の一枚を手に取ってみる。


「『お客様の声をお聞かせください』?」


タイトルに黒で書かれた大きな文字。

文字の横にはジョイントのイメージキャラクター、ジョーイ君。

そしてその下には予め書かれていたであろういくつかの質問に、客がひとりひとり答えを書いていた。


「そうです。店の出入り口にアンケートBOXってありますよね?
客席テーブルそれぞれにアンケート用紙が置いてあって、料理を食べ終わったお客様がその紙に内容を書いてあの箱に入れるシステムなんです。
お客様の声をたくさん取り入れる事によって、このお店をより良い店にしようって、3年前から実施してる企画なんですよ」

「あ…あぁ…」


それはわかる。

結構色んなお店でもやってるし、説明は聞かなくてもなんとなくは予想がついた。

だが…だから俺は何をすればいいんだ?

確かに俺はこの店にはよく来るけど、別にアンケートに回答した事もないし。

人が何を考えているとも知らずにルーイは説明を続けた。


「このジョイントではお客様がボックスに入れてくれたこの回答用紙に、スタッフが一枚ずつ返事を書いているんです」

…あ、なんとなく読めてきた。

多分「ですが、今日は従業員の休みが多くて返事を書ける人が少ないから、ジムさんにお手伝いをして頂きたくお呼びしたんです」とか…



「ですが、今日は従業員の半分が手を骨折してしまって返事が書けないので、ジムさんにお手伝いをして頂きたくお呼びしたんです」

「従業員の半分が骨折!?何?事故でもあったの?」

「いえ、フライパンが重くて厨房が全員骨折しました」

「ここの厨房、全員腕脆っ!」


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