3
……………
「ビッキー。これ…来週のレポート」
「あ…うん」
あの告白事件の翌日。
ジムからレポート用紙を受け取ったビッキー。
普段ならここで「アンタ何この字!」や「期限忘れたらペナルティな!」など、中学生みたいな貶し合いやビッキーが延々とリッキーの話をしたりと、とにかく話題が絶えなくなるふたりなのだが…
「じゃ…そういう事で…」
「あ…はい」
すれ違うようにジムは自室へと戻り、ビッキーもいつもは全く読まないレポート用紙を読み込み始める。
おかしな光景だ。
……………
「ビッキー。来月のミーティング、ジムと一緒に出てくれませんか?俺、丁度その日に別の用事が入っていまして」
リッキーが部屋を訪ねて来ても、彼女は全く嬉しそうではない。
ただただ困惑した表情で、意味もなく辺りを見回している。
普段なら「リッキーとじゃないと会議出たくなぁ〜い!」など駄々をこねるばかりなのに。
「サラとか…ナイジェルは…空いてないの?」
「え?いや、わからないです。訊いてきましょうか?」
「いやっ!いい!私が直接交渉してくる!」
愛しのリッキーをほったらかし、ビッキーはサラの部屋へ走る。
どうやら、なにがなんでもジムとふたりきりでは出かけたくないらしい。
小さく息を吐き、眉を八の字に歪ませた彼。
あ、そういえば候補からボビー…外されてたな。
……………
レース終了後。
先程まで大いに盛り上がっていたスタンドも、今は客全員がいなくなって静かになっていた。
この時間は片付けも完了し、全員が仲良くバイクを倉庫へ戻す時間帯だ。
もちろんいつもは、くだらない話題の絶えない6人なのだが…
「…………。」
「…………。」
普段一番喋る奴らがまさかの無言状態。
気を遣ってしまい、サラやリッキーも話さない始末。
もちろんナイジェルだって自ら積極的に話す柄ではない。
唯一ひとりで口を開いているのは、奇跡のKY男・ボビーだけだ。
「サラちゃん!マメツブヘッドモードって知ってるかい?」
「いや…知らない…」
- 372 -
*PREV NEXT#
ページ: