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……………


「はい、これ」

サラがビッキーに手渡したのは、一枚のチケットだった。

観覧車やジェットコースターが描かれ、そして隣の可愛らしい恐竜のマスコットには見覚えがある。


「これ…ワンダードリームランドの…」

「貰ったの。私、いらないからあげる」

「えっ?いいの?」


なかなか手に入らない新設の有名な遊園地のチケットだ。

しかも今はクリスマスシーズンで、普通のチケットとは比べものにならない程貴重な一枚。

なんでサラがこんな物を持ってるの?

なんでそんな簡単にくれるの?

訊きたい事は山程あったが、こんな時ばかりは飛び跳ねる事もなく、ビッキーは丁寧にその紙を受け取った。



ったく…自分で渡せばいいのに。あの馬鹿。



「サラッ…?あの…」

「自分に素直になりなさい」






……………









「…………ッ…」


鼓動が早い。

ジムは色々な感情を外に出さないようにグッと堪え…

その代わりに貰った遊園地のチケットを強く握り締めた。









サラ「結果はどうあってもいいから」


リッキー「何があっても俺達は受け止めます。だから…」



「「お願いだから自分を隠さないで」」




「…………っ…」


ベンチに座っていたビッキーも

道路のど真ん中で立ち尽くしていたジムも


何も言葉が返せなかった。



自分達に足りなかったものは「ありのままの素直さ」


意地とか恥ずかしさなんかで自分を誤魔化さないで

思っている心の内を、後悔しないようにきちんと伝え合って欲しい。


サラやリッキーは、ただそれだけを望んでいた。





「…ありがとう」

ジムは肩を震わせながら、リッキーに深々と頭を下げ


「サラァァッ!」

ビッキーは月の光に照らされながら、サラに抱きついてその場で泣きはらす。


お互いの手に握られていたチケットは、

貰ったばかりなのに

既にしわくちゃになっていた。


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