10
……………
「はい、これ」
サラがビッキーに手渡したのは、一枚のチケットだった。
観覧車やジェットコースターが描かれ、そして隣の可愛らしい恐竜のマスコットには見覚えがある。
「これ…ワンダードリームランドの…」
「貰ったの。私、いらないからあげる」
「えっ?いいの?」
なかなか手に入らない新設の有名な遊園地のチケットだ。
しかも今はクリスマスシーズンで、普通のチケットとは比べものにならない程貴重な一枚。
なんでサラがこんな物を持ってるの?
なんでそんな簡単にくれるの?
訊きたい事は山程あったが、こんな時ばかりは飛び跳ねる事もなく、ビッキーは丁寧にその紙を受け取った。
ったく…自分で渡せばいいのに。あの馬鹿。
「サラッ…?あの…」
「自分に素直になりなさい」
……………
「…………ッ…」
鼓動が早い。
ジムは色々な感情を外に出さないようにグッと堪え…
その代わりに貰った遊園地のチケットを強く握り締めた。
サラ「結果はどうあってもいいから」
リッキー「何があっても俺達は受け止めます。だから…」
「「お願いだから自分を隠さないで」」
「…………っ…」
ベンチに座っていたビッキーも
道路のど真ん中で立ち尽くしていたジムも
何も言葉が返せなかった。
自分達に足りなかったものは「ありのままの素直さ」
意地とか恥ずかしさなんかで自分を誤魔化さないで
思っている心の内を、後悔しないようにきちんと伝え合って欲しい。
サラやリッキーは、ただそれだけを望んでいた。
「…ありがとう」
ジムは肩を震わせながら、リッキーに深々と頭を下げ
「サラァァッ!」
ビッキーは月の光に照らされながら、サラに抱きついてその場で泣きはらす。
お互いの手に握られていたチケットは、
貰ったばかりなのに
既にしわくちゃになっていた。
- 379 -
*PREV NEXT#
ページ: