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……………


列車に乗っている時までは小さく見えていた観覧車だったが、真下まで来るととんでもない迫力だ。

てっぺんのゴンドラはもはや目を細めないとよく見えない程。


「やっぱデカいなぁ…!」

男の血が騒ぐのか、ついさっきまで若干緊張気味だったジムは少年のように興奮して見上げた。


「う…うん」

彼女の方はというと、まだ列車内と同様あまり変わらない強張った表情のまま。

そんなビッキーを見て、ジムは眉を下げながら笑みを浮かべた。


「まだ拗ねてるのか?」

「す、拗ねてるわけないでしょ!な…んというかその…」

顔が赤い。

まだ先日の出来事を気にしてしまい、真正面から話す事に抵抗があるらしい。

無理もないか。



「まぁ…とりあえず、こんな有名な遊園地に来たんだ。滅多に来れる場所じゃないし楽しまなきゃ損だろ?」

「え?」

「だから、前の事は忘れて……あぁ…忘れるって…そんなんじゃなくて。一旦頭の隅に置いて今は全力で遊ぼうって事だよ!」


無理に笑顔を作っている事は見てすぐにわかった。

でも彼も彼なりに色々考えて、頑張って少しでも良い雰囲気を作ろうとしてくれてるんだと思う。


「っ…そんな事言われたって…」

「……ッ」


そんな彼が「良い人」で私が「ダメな子」みたいで、思わずまた怒ってしまいそうになったが…



「…なんで…もない」


グッと息を飲み込んだ。

こういう時…私はすぐに思ってる事と反対の事を言って、子どもみたいに拗ねるからダメなんだ。

だからいつも、何も考えずに言い返してはケンカに発展する。

このままじゃいけない。


…大人にならなくちゃ。


「自分に素直に」というサラの言葉を何度も頭によぎらせた。


「わかった」

「ッ…」


目線を泳がせ、頬を赤らめながら言ったビッキーにジムは意外だったのかクスッと笑ってしまった。


「よし、じゃぁいくぞ!全部、制覇するからな!」


ガシッ!


彼女の腕を掴んで、ジムは一番にジェットコースターへ走り出した。





出来た。

私にも出来たっ…

初めて自分の素直な気持ちを出せた事が嬉しくて、ビッキーは自然と口元が緩んでしまった。


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